TRAVELER'Z TAME

白木飛鳥

EP.001 「メリーテイム」

冒険マイナス1日目


ここは黒土の大陸【ジョージル】。大陸東端に位置するナキアクという村。

ここが、私:メリーテイム・トリスの故郷である。


「そういえばトリスはちゃんと準備してるのか?」

「あぁ、あの子なら丘の上で寝ていたぞ。」

「まったく・・・。明日以降どうするつもりなんだ?」

「さぁな。マイペースなところはお前にそっくりだぞ。」


「ちょっとそこの塩を取ってくれるかい??」

「はいよ。いい匂いだなぁ。トリスの大好物だな。」

「そうね。塩っ気がいいらしいのよ。私は甘い方が好きなんだけどね。」

「お前は昔からそうだな。」


「ただいまぁ~~。お母さん、今日は夕ご飯何?」

「おかえり。トリス。今日はあんたの好きなシャンアンテだよ。」

「やったぁ!ねえ見てお母さん、これお母さんのバックについてるやつよりもいい奴だよ?交換したら?」

「あらいいわね。でも・・・。わたしはこれがいいのよ。」

「へえ、変わってるね。もうボロボロなのに。」

「おいトリス・・・。」

「げ・・・。何お父さん。」

「明日は何の日だかわかるか?」

「私の誕生日・・・。」

「そうだな。そして、メリーテイム家のしきたり。18になるまでに魔獣を使役して旅にでなきゃなんだという話は覚えているか?」

「はい・・・。覚えています。」

「必要使役数は?お前が使役してる魔獣の数は?」

「2です。0です。」

「そうだよなぁ。なぜできない?私と母さんの魔力を継いでいるお前なら…」

「どの子もかわいくて・・・。選べないんだ。」

「はぁ?相手は魔獣だぞ!?かわいいってなんだ?倒すか使役しなければ倒されるのだぞ?お前はそれを・・・。」

「あははは。さすがトリスだね。それでいいのよ。だけどね・・・。メリーテイム家は代々魔素が自分では使えない代わりに魔獣を使役してるの。相棒としてね。だから1匹くらいこの子なら一緒に暮らせるっていう子を見つけるといいわ。」

「うん・・・。」

「まぁいい。明日俺や母さんはカルテットに行ってくるからその間に相棒を見つけておきなさい。」

「は~~い。」


母さんの言う通り、私たちメリーテイム家は魔素が使えない家系であり、魔獣を使役して生活をしている。父さんと母さんははとこ結婚をしている。そのため、二人に生まれた私も魔素が使えない。


「明日こそ捕まえたいけど・・・。使役って本当にいたくないのかな???」


私はそう考えながら眠りについた。


冒険0日目


「じゃあ、トリス。頑張ってな。夕方の便で帰ってくるから。お披露目会だな。」

「気を付けるんだよ。魔獣の森はたくさん魔獣がいるからね。」

「わかってるよ。二人もね。」


母さんたちは、芸術の国:カルテットへ向かった。


「さぁてと・・・魔獣の森でも行くか・・・。」


そういったが正午になっても一匹も使役ができていない。


「まずいなぁ。このままじゃ・・・・。って何だあれ?」


樹のふもとに卵がいくつか入った籠がおいてあった。


「これはおそらくタマゴヒロイドリの仕業だな・・・。でもどうしよう。大きさも色も違うしわからない・・・。いったん家に持って帰って『魔獣図鑑』で調べてみるか・・・。」


私は、タマゴヒロイドリが集めた13のたまごを家に持ち帰った。

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