第3話:金の切れ目が縁の切れ目
高校。朝。ホームルーム前。
ぼっち高校生的には昼休みよりマシな時間だな…。昼休みは周りの人が固まって昼飯を食うせいでなんか浮いてしまうが、朝はまだ全員が登校しきってないために浮かない。マシな時間かどうかの判断基準がクラスで浮くか浮かないかなの、本当に終わってるな。
とりあえず、時間を潰すための数ある奥義のうちの一つ、スマホでYouTube周回をするとするか。ほうほう、最近のshortsのトレンドは2chまとめ…と。
「ねえ、佐々木くん」
ほええ、最近のshortsは名前も呼んでくれるのか。AIとかなにやらのはちゃめちゃな発展がぶれいくするーなんですかね。
「佐々木くんってば」
でも、どこで俺の名前を知ったんだろうか。怖いな…プライバシーポリシーをよく確認すべきだったか。
「佐々木くん」
流石に鬱陶しいな…。shorts観るのはやめて、とっておきの電波アニソンプレイリスト周回に切り替えるか。
「…」
ん?なんだ?俺のイヤホンが勝手に耳から外れて…。って、おい。
「佐々木くん、お金返してくれるかな?」
目の前には、俺が今さっきまでつけていたワイヤレスイヤホンを両手にもっている超絶美少女がいた。あまりにも美少女すぎて、よくアニメで流れているような電波ソングがどこかから聞こえてくるような気さえする。って、この音楽は!
『君の〜こと〜、ずぅーっと〜、大好きだよ〜』
俺のスマホのスピーカーから流れてきてるじゃねえか!
–––––––––––––––––––––––––––––
俺のイヤホンを勝手に耳から外し、クラス中に大音量で電波ソングを流して俺のことを辱めた重犯罪者と一緒に、俺は今空き教室に来ていた。
「なんてことをしてくれたんだ…。もう俺は一生萌えアニメ好きのキモオタとしてクラス内で認知されることになるんだ…」
ゲーセンで俺がボコられた…いや、惜敗した翌日。朝イチでお金を取り立てにきた借金取りこと
「それは悪かったけど…、無視し続ける佐々木くんも絶対悪いよね」
「いや、だって学校で人に話しかけられるのなんて数ヶ月ぶりだし…」
「あはは、面白いね」
いや、冗談じゃないんですけど。
というか、よりにもよって話しかけてきた相手が姫崎なのが状況をより悪化させた。5月現在、4月という貴重な時間を丸ごと病院のベッドの上にベットした俺に関する情報は不足した状態。つまりどのような人物なのかが分かっていない状態なのだ。そんな俺に突然、姫崎とかいう、新学期が始まってからたったの一ヶ月で校内一の有名人に上り詰めた最強美少女が話しかけたもんだから、クラスの注目は集まっていたことだろう。
まあつまり、空っぽの状態の俺のプロフィール欄に、クラス中の注目が集まった状態で、キモオタ属性が注入されました、と。
まあいいか、俺、ぼっちだし。
「まあそれよりもお金ね、ちゃんと持ってきたから安心してよ」
「お、おお、切り替えが早いね…」
「ただし!お金を返すには条件があります」
「え?なんで私は貸したお金を返してもらうのに条件をつけられてるの?」
…なるほど、その疑問はもっともだが、話を続けさせてもらおう。
「もう一度俺と対戦しよう。もし姫崎さんが俺に勝ったら、お金は全額返す」
「いやだから、お金は無条件で返すべきだよね」
…姫崎さんの言い分も理解できる。
「まあ、でも。私が負けるはずないし。いいけどね」
カッチーン。
「放課後、またあのゲーセンで勝負だ!」
戦いの火蓋はここに切って落とされた!!
次の更新予定
高校ぼっちの俺、放課後にゲーセンで出会った美少女と仲良くなる。 さけしゃけ @Writer_Fish
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。高校ぼっちの俺、放課後にゲーセンで出会った美少女と仲良くなる。の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます