第11話時間がいくらあっても足りない

この町では時間がいくらあっても、足りない。

みんな好奇心に取り憑かれ、新たなる果実を発見しようと労働に勤しんでいる。

目はがんびらき、どうしようもないほどに、どうかしている。

誰か止めてくれと、願う者もいるだろうが、止まらない。

「このやろう!」ちくしょーまたハズレだ。なかなか魚が釣れない。女もだ。

女は関係ない。ここは男の世界だ。病室から抜け出した男の世界だ。

いこうお見知り置きを、門番はそんなことを言ってこの世界に続くドアを閉めた。

ドアは羊蹄と音をたて、不快に笑っているようだった。

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美人探査 @52105210

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