第10話嫌われやすいお調子者

「ねえねえ見てみて、あんなところに風船があるよ」

「みててね、僕がジャンプしてとってくるから」

「よいしょっと、なかなか取れないなあ」

「よっと、やっと取れた」

「ねえみんな、みてよ!」

「ねえ…」

パンっ、風船の割れる音がした。

どうやら子供が風船を、自ら割ったようだ。

木に引っかかっていた、誰のかわからないような風船を掴めた時は、とても嬉しそうな顔をしていたのに。

うん。さっきまで一緒にいたあの子の友達がいない。そう言うことか。

目立ちたかったんだね。話の中心にいたかったんだね。

「何その風船?割れちゃってるけど?」

俺はなるべく明るく、その子に声をかけた。

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