23
「七瀬なんかやめればいいのに」
小さくこぼした友里の言葉に気がつかないフリをして。
わかっていないフリをする。
これ以上傷つくことはない。
もう、あの電話が最後。
そう言い聞かせる。
「そういえば、圭太に電話した時に言ってたんだけど、今度大きな集まりがあるんだって」
「集まり?」
「須崎から聞いてない?」
「うん、…聞いてない」
「なんか今回は特別で、たくさん人集めてほしいんだって」
「何かあるの?」
「うん、たぶん?」
友里も詳しいことは聞いていないらしく、首をかしげる。
「行くでしょ?」
「……行ってもいいのかな?」
「ダメなことないでしょ。人集めてるんだから」
それもそうか、と。
七瀬くんと顔を合わせないわけがない、その大きな集まりに行くのはかなり億劫。
私は今まで通り、何事もなかったかのように、七瀬くんに接することができるかな?
と。
机の上に置いていた携帯が震える。
画面が光り、そこには須崎七瀬の文字。
”今日放課後、時間ある?”
安心と不安が一緒に襲ってくる。
いっそのこと断ってしまい。
先延ばしにすればするほど、会いづらくなるのは目に見えているのに。
「…今日、七瀬くんに聞いてみるね」
「え、会うの?」
「うん。今、連絡きた」
「そうなんだ」
後戻りは考えない。
前に進むこともできない。
きっと私と七瀬くんの関係に未来はない。
もうすぐ、”今”でさえも終わってしまう。
それが、今日じゃないことを祈るばかり。
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