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雲のない空が夕日に赤く染められている。


油断すると気分が持っていかれそうになる時間帯。




黄昏時ってだっけ?


何かの映画でやってた。




そんな要らない知識ばっかり浮かんでくるのは、気を紛らわせようとしてるのだろうか。




「……聞かなければよかった」




まるでチャイムがなったから、そう言わんばかりに帰ってしまった七瀬くんを引き留めることができず。



それから約20分間、膝を抱えてうずくまっている。





ただ、誕生日おめでとうを伝えて。



プレゼントを渡すだけの、簡単なミッションのはずだったのに。



ミッションはクリアしたのに。



どうして、こんなに惨めなんだろう。



……なんて。



結局、その理由なんてわかってるくせに。


わかりたくない自分が、馬鹿のフリをしていたい自分が邪魔をする。




どうしても傷つきたくなくて。




七瀬くんに要らない、そう言われる日がまた短くなった、



そんな気がした。





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