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それから何日か日をまたいで、学校の帰り道でもある例の公園の横を通りがかれば。



「つーちゃん!」



今度は私が見つけるよりも、早く須崎七瀬くんに話しかけられた。


聞きなれない呼び名に、自分のことだと思えなくて、少し反応が遅くなったけど。




振り向いた瞬間、須崎くんは屈託のない笑顔で私を向かい入れる。






「今日これから暇?中華食べに行かない?」



「中華?」



「うん。美味しい店があるんだ」



「へえ」



「それに、まだお礼もできてなかったし」




お礼なんかいらないのに。


と、思ったけど、声には出さなかった。



何となく、そう言ったところで受け入れてくれない気がした。




「ごめん。今、お腹空いてないの」



「そっか。じゃあ、また今度誘うね」




一礼して、背中を向けて歩きだす。


見られているかもしれない、そう思うと背筋がのびた。




意識しすぎている自分に、疲れてしまいそうだ。











転校先は須崎くんとは違う高校だったけど。



須崎くんと紫夕くんは違う学校であっても有名人だった。




クラスメイトの間で、一日一回は話題にあがるような、そんな有名人。



そういえば学生証とおつりを返しに行った時も、紫夕くんが私のことを追っかけだと勘違いしてたっけ。





私が思っているより、すごい人と連絡先を交換してしまったのかもしれないと、携帯の画面を見ながらため息をついた。




「今日購買なんだけど、つきあってくれない?」



学校のお昼休みに、席が近くて仲良くなった友里から告げられる。




「うん。いいよ。私も購買行ってみたかったんだよね」



「別に普通だけどね」



「おすすめとかある?」



「……唐揚げ串とか?でかくて安いし」



「へえ、食べてみようかな」



と。

購買に行く途中で、携帯がふるえた。


須崎くんから、メッセージが来ているよう。




”今日、おっきいお肉食べに行くんだけど来る?”




おっきいお肉


可愛い言い方するんだな、と。




”今日は予定がある”


”ごめんね”



二回目の断りに、少しの罪悪感を持ちながら文字を打つ。


文字だけだと硬くて、なんとも可愛げのない女になる。



だけど、これでいい。




きっといつかは誘われなくなる。




その時がくれば、私の気持ちもすっかり落ち着いているはず。






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