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背伸びした自覚はある。
普段は誰よりも地味な女子高生だし。
それでも少しでもかわいいって思われたいのは女の子だったら普通のことでしょ?
それが好きな人だったら尚更。
「いらっしゃい、紬葵ちゃんと友里ちゃん」
溜り場に来れば、いつも1番に優しく声をかけてくれるのは圭太くん。
優しい目つきが溜り場の雰囲気を中和してくれる。
「なんか今日感じ違うね」
…やっぱり似合ってないかな。
早くも戦意喪失しそうな私は、首を振って目的を思い出す。
七瀬くんに会わないと。
「……七瀬くん、もう来てる?」
「いるけど…、すぐ会う?」
と。
圭太くんが微妙そうな顔をしたのを見て、察してしまったかもしれない。
七瀬くんが今、どういう状態なのかを。
「七瀬くん!お誕生日おめでとっっ!!」
思い描いていた状況を答え合わせするかのように、甘く可愛らしい女の子の声が響き渡った。
声を追いかけると、そこにはたくさんの女の子に囲まれている七瀬くんの姿。
そのうちの一人には抱きつかれてる。
たぶん、さっきの可愛らしい声の女の子。
「見て!これ、今日七瀬くんに見てほしくて買ったの。かわいい?」
「うん、かわいい」
そんな甘ったるいやり取りを少し離れたところで見ている私の顔はきっと引きつっている。
かわいいとはかけ離れてる表情をしているかもしれない。
「…あれ、良いわけ?」
私と同じように顔を引きつらせた友里と目が合う。
「あんたの彼氏でしょ」
「……七瀬くん、優しいから」
決して、言い聞かせてるわけじゃない。
本当に彼は優しい。
その優しさと整った顔立ちからして、モテなわけがない。
だから女の子に囲まれるなんて日常茶飯事。
よく見る光景。
…さすがにハグしているところを見たのは初めてだけど。
「圭太くん、」
「何?」
「あそこ通らなくても、上に行く方法ある?」
「外の非常階段からなら行けるけど、七瀬と喋らなくていいの?」
「うん。後でいいかな」
あそこに割って入る勇気もないし、七瀬くんの手を引っ張って連れ去ることもできる気がしない。
そもそも、七瀬くんが私に連れ去られてくれるかもわからない。
だって、七瀬くんは―――、
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