第4話 プールでデート

 和樹は天美を室内プールに誘う事にした。


我ながら勇気の必要なデートの誘いであったが、直ぐに快諾した天美に少し驚いた、これもまた人生だと思う。


 そう『極凍結状態』になる運命にあらがいたいと思ったからだ。


 そして、和樹は着替えて自販機の前で天美を待つ。ここは珈琲でも飲んで気合を入れるか。


 手首に付けたロッカーの鍵にQRコードが貼ってあり、事前にお金を振り込んでおけば、飲物が買える仕組みだ。和樹はハイテクだなと思うのであった。


 などと、していると。


 赤いビキニ姿の天美が現れる。


「大胆だな……」


 思わず呟くが天美も恥ずかしそうである。


「ネットで買うとついつい……」


 ま、そうだろう、最近は大胆な水着など店頭では売っていない。しかし、目線に困るたわわな胸だ。


「せっかくのプールよ、そんな顔してないで泳ごうよ」


 そうであった。プールに来て泳がないのは損である。


 和樹は天美に手を取られてプールへと向かう。


……。


 あれ?平泳ぎを始めたところ沈んでいく。これはまさかの泳げなくなっている!?


 和樹が青い顔をして横を見ると天美も沈んでいく。


 アイタタタ、二人して泳げない。これは温水プールを選んだのが失敗なのでは……。


 そんな事を思いながら、天美と目が合う。


「えへへへへ、私達泳げないね」

「あぁ、交代で特訓する?」

「仕方がない、そうしよう」


 その後は手を持ってバタ足の練習を交互に行った。


 これはこれでバカップルであった。


 さて、そろそろ帰る事にした時間には絆が増していた気分になる。


 更衣室を出てQRコードの精算機の前にUFOキャッチャーが置いてある。


 これは入れたお金で遊べと言う事らしい。ホント、ハイテクも考えモノだ。


 結局、UFOキャッチャーで遊ぶ事にした。取れたのはアニメキャラのぬいぐるみであった。一つだけなので、天美が引き取る事になった。


 帰り道は夕暮れであって銀色の夜空にはまだ早かった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る