第3話 今を生きる

 この聖臨海白浜高校は学力によって多くのクラスに別れている。


 『極凍結状態』は若者に多く発病する。


 しかし、その年齢や期間は決まっていない。少人数制の多くのクラスを維持する、経費はミッション系の寄付でまかなわれている。


 和樹にしてみればありがたい高校である。


 朝、制服を着て登校する。八年もブランクの為か新鮮な気分になる。


 和樹は天美に朝のメッセージを送る。すっかり、友達以上な気分だ。


 しかし、メッセージに……返事が来ない。これは厳しい気分になる。恋なんてしたことが無い。


 やはり、高嶺の花であったのか?


 すっかり、気分が落ち込んでしまい、渋々、駅向かって歩き出す。


 うん?着信だ。


『和樹君、元気?』


 それは天美からの電話であった。住宅街で話す事に和樹は少し戸惑った。


『どうしたの?今、電話は不味い?』

『そんな事は無いけど……』


 ここは勇気を出して住宅街で天美と話そう。


 そうだ、この機会に天美の年齢を聞こう。


『天美さんは何歳になるの?』

『えーそれを聞くかな。でも、和樹君には特別に教えてあげる』

『ゴメン、どうしても聞きたかった』

『二十五歳、十七歳の時『極凍結状態』になってね』


 年上か……。


 一瞬、戸惑ったが年上も良かろうと思う。それは自分自身が二十三歳だと実感が無いからだ。

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