第2話 夜空

 夜、和樹は自宅の窓から星を眺めていた。星々の輝きは静寂の住宅街での心温まる一コマであった。


『チリン』


 うん?メッセージ交換アプリの音だ。


 それは昨日交換した天美であった。簡単な気持ちで交換したが本当に来るとは……。


 内容は『今、何をしているの?』であった。


 天美の純粋な質問に和樹は迷った、ただ星を眺めていたとは言い難い。和樹は自分が『宮沢賢治』の様な凄い人と勘違いさせたくなかった。


 それからもう一つ、天美からメッセージが届く状況に胸が苦しい。きっと、これが恋なのであろう、だから正常な判断が出来るか不安であったからだ。


 ここは……。


『芸術のアイデア探しをしていた』


 我ながら、いい加減な答えだ。


『凄い、和輝はアーティストなのね』


 和樹の趣味はスケッチだ、公園などで鉛筆によって白と黒の世界を表現していた。


 やはり、むずがゆいな。話題を変えよう。


『そういえば、担任の林田先生は無宗教なの?』


 副担任のシスター中野は神様を信じているみたいであった。ミッション系とは言え先生を集めるのは大変なのかもしれない。


『林田先生はごく普通の日本人よ』


 そんな簡単なメッセージのやり取りが夜遅くまで続いていた。


 星降る、春の夜空は和樹に女子とのメッセージ交換と言う祝福をもたらしてくれた。

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