03「ダーリン、お前のせいで何人の女が泣き濡れたか! 地獄で作法を請うがいい、その手が罪以外を知るまで何度でも! 」



 市民が生き抜くには、安全圏の確保が必須要項だ。生存的安全性が市民の暮らしを向上させ、社会的生産性を安定へ導く。市民の安心はやがて組織の安定となり、経済の活発となり、社会の向上へと繋がっていく。

 

 市民の活動と発展を阻む存在、———ダーリン。

 

 奴らは地獄からオルドポルターへ蘇る時、特異な異能をもって復活する。その代償のように苦痛を伴って。その異能は個体ごとに異能の発動条件も違えば、異能の種類にも作用にも共通項がない。「人の地獄は人それぞれ」、そうであるとすれば「ダーリンの異能もダーリンそれぞれ」、ということだった。さらに言うなれば、ダーリンの攻撃性も個体差がある。

 攻撃性が高く、組織の管理下にないダーリン。それこそがオルドポルター市民の安心を脅かす都市の敵だ。彼らに対抗する唯一の刃こそがわれわれAg:47。対ダーリン民間武装組織と説明すればわかりやすいだろう。俺たちの武器は独自開発と独自ルートで製造する銀弾。おもちゃの銃弾だと思うか? コイツは、たとえ地上で討伐されようとも奇跡な確率を引き当てれば再び地上へ甦ることができるダーリンを、地獄送りへすることのできる、特別性の銀弾だ。


 ダーリン、生憎お前の蘇りランデヴーは市民の社会発展にとってお荷物に過ぎん。オルドポルターはダーリンという現象を容認しない。不穏分子の生存権を許容はしない。お前の居場所はここではなく、死者の行き着く烈火の獄だと知らしめるのが俺たちAg:47だ。


 ……さて、お喋りはこのくらいでいいだろう。永劫の地獄へ還る準備はできたか? 時間だ、ダーリンお邪魔虫。Ag:47特注銀弾の効果を、その屍で確かめてみるといい。


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