第5章 水中と光を夢見た狼
”いじめではないのか”
そういわれたらそうかもしれない。
でもあえてそう言わなかった。
親に髪が切れているのをばれても
「自分で切ってみたかったんだ」と嘘ついた。
あくまで”いじられている”と。
そう思って過ごさなければ自分は生きてけなかった。
何度ベットで泣き苦しんだのだろう。声を殺して。
親にばれないように。ひっそりと。
でも、そんな自分にも頼りになる友達がいた。
そいつは頭がいい、そして人から頼られるいい人だった。
親しみやすさから特に自分とは仲良くしてくれていた。
そいつに言われたことがあった。
「なぁ、大丈夫か?」
自分は「何が?」と返す。
続けてそいつは「いじられているんじゃなくていじめられているんじゃないか?
しんどいならそういうのは無視すればいいんだよ。」と。
反論したかったが言えなかった。学校だったから。
帰るとき自転車に乗りながら心の中で叫んでいた。
「そりゃ、しんどいに決まってんだろ!!!!あの場じゃ言えないことくらいわかってんだろぉ!!わざわざ聞くなよ!!!自分だって好きでいじられている訳あるかよ!!!こんなのいますぐ逃げ出したいよ!!!!でもそれができないからしんどいんじゃん!!!!なんでわかってくれないの!!!」
そいつに期待した自分が馬鹿だった。
少しは変えてくれるかもしれないと思って夢見た自分が馬鹿馬鹿しい。
一匹狼なんだなと気づいた。
誰も助けてくれることなんかないんだと。
一人で頑張るしかないんだと。
また、孤独という水中に溺れた。
~現在~
また、あの出来事を思い出した。
あぁ、今日も疲れたな。
月にワオーンとでも呟いとけばよかったかな。
今も自分は一匹狼のままだった。
あれから二年、人間不信気味となり多くのキャラ設定を作り、演じながら生きる自分は道化師だ。
さぁ、五時間半後にはまた起きて道化師の始まりだ。
では、おやすみ。
※まだまだ話は続きます。
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