7日目

 毎年帰り道は憂鬱な気分になったものだが、その年は比べるまでもなかった。


 終始暗い顔をしていた僕を気遣ってか、祖父も父も、普段より口数が多かったように思う。


 別れ際、祖父は麦わら帽子を左手で抑えながら、右手で僕の頭を撫でた。

 ――いつもより優しい手つきだった。


 祖父の麦わら帽子が視界に入るたび、僕の脳裏にはナツの姿が浮かんだ。それが嫌で、僕はずっと地面を向いたままだった。父が深々と頭を下げる影が、乾いた地面に映っていた。


 車窓から見える空は、ナツの瞳にも髪の毛にも見え、入道雲は白いワンピースに見えた。

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