第2話 未知との遭遇
「起きてくだ──いや、起きなさい?ダメだ弱すぎる.....起きろ!」
誰かに怒鳴られた気がする。
そうだ、実験は成功したのか?
清水くんがなにかしでかしたらしいが.....彼めちゃくちゃ優秀なんだけどね?
悪ふざけが過ぎるという点を除けば.....
だが意識が覚醒したということは実験はもう終わっている筈.....早急に確認せねば.....
「あの.....おい!聞いているのか下界の民!」
しかしおかしいな.....ここは研究室の筈なんだが.....
目の前にあるのは水晶でできた壁、床、天井、全て色が違っていてまるでステンドグラスのように綺麗だった。
「そこのお嬢さん」
「おおようやく話を聞く気になったか」
「君も迷子かね?」
「???」
私は装置を作るために様々な材料を探し求めてきた.....もちろん個人的研究のため材料は自己負担。
幸い金は腐るほどあったからそこにはあまり困らなかったが.....しかしそれでも身体を作り替える装置だ。
市場に出回っている素材だけで作れるわけではなかった。
全てが手探りの状況.....新発見された鉱物を金を積み少しでも分けてもらったり、地図にすら記されてないような場所の民族を訪ねそこに眠る秘薬を入手したこともあったし、メンバー総出で海底を探索し新たな生物を見つけたこともあった。
しかし世界をまたに駆けまくった私もここまで壮大な水晶窟など見たことも聞いたこともない。
「非常に興味深い」
「んっん!」
先程から迷子の少女がわざとらしく咳払いをしてくるがなんの意味が込められてるのだろうか?
最初は普通に咳払いしてるだけだと思っていたんだがあまりにも頻度が多いしわざとらし過ぎる。
「すまなかった.....」
「ようやく分かりましたか神の私の話を無視するなど間違って.....」
「確かに迷子で不安になっている少女に対して一人思考を巡らせるとは流石に大人として恥ずべき行為だった。とりあえず位置情報を西平くんに割り出してもらって親御さんに連絡を.....いや病院で検査が先か.....」
「は?」
なんせ未知の空間だ。
水晶もピンク、黒、他にも色々な色を見てきたが見たことの無いような色のものまである。
この空間内に少女と私がどれくらい前からいるか分からないとはいえ病原菌が潜伏している可能性も否めない。
「携帯は.....そうだった装置に入る時に全部外に出していたんだった.....さてこれからどうするか.....GPSが埋め込まれてるからいずれ助けが来るにしてもいつになるか分からない。食料、水はなし.....なかなか厳し───ん?どうしたお嬢さん?」
迷子の女の子は顔を俯かせたまま急に私に近寄ってきた。
それからゆっくりと顔を上げると──
「驕るなぁぁあああ!」
怒鳴り声を上げた(酷く可愛らしものだったが).....
「なんなんですか?あなたには私が迷子の幼子にでも見えているのですか?後ろの輝かしい光輪が見えておられないのですか?」
「見えているが?」
「見えている?そのうえで私を迷子の子供などと抜かしそのような悠然たる態度で見下していると?.....殺すッ!──と申したいところですけどこちらもこちらであなたに用があって呼び出したのでここで私の怒りはここで収めましょう.....本当に嫌になりますよ最近の人間は信仰心というものをお持ちになっておられないようで.....」
.....?
この女の子の言い分ではまるで自分が推定的上位存在まぁ世間一般的に神と呼ばれているものだと自称しているように聞こえるな。
姿は紫色でトゲトゲのドレスを着ていて神というかどちらかと言うと邪神とか悪魔とか言われた方が納得ができたが.....
あぁそういえば宮原くんも一時期実験の過程であのようなことを言ってたような.....
〜〜〜
『俺の内に眠る
宮原くんの言動がおかしかった。
『どうします綺羅野?』
『放っておけばいいんじゃないスかね〜?』
『元はと言えば君が宮原くんを試しに作った装置に押し込んだからこうなったんだろう?』
そうなのであるそこの綺羅野くんが彼をまだ実験中の装置に実験台として無理矢理押し込んでスイッチを押したというのがことの経緯だと清水くんが笑いながら話していた。
『じゃあ先生がどうにかしてくださいよ〜私には宮原の言ってること意味不過ぎて相手にしてらんないんスけど』
『いや、私もお断りしたいんだが.....』
『くっ.....邪悪なる力が暴れるッ!』
〜〜〜
「別に私厨二病という訳ではないのですが!はぁ.....話が進まないのでもう何も考えないで聞いといてください」
ほう?私の思考を盗聴したのか?
私の脳は厳重に漏洩をガードするプログラムでプロテクトしてある筈なのだが.....彼女のどこにも機器は見受けられないし.....あながち彼女が神.....とまではいかなくともそれに類似したなにか.....人間ではないというのは間違いではないのかもしれないな。
少し気になるし話を黙って聞いておこう。
「この世には破られてはいけない禁則事項【禁忌】というものが存在します。」
「お嬢さん少し質問いいかな?」
「お嬢ッ.....まぁいいでしょう.....なんですか?」
「その【禁忌】というのは世界が強制した法律という認識でいいかな?」
「そうですね。大方その認識で間違いありません。そしてつい最近その【禁忌】を破ったものが現れたんですよね」
疲れたように推定神はため息をつく。
「ほう?その者がどこの誰でどんな罪を犯したのか少々気になるね」
「もしかしてあなたこの状況で冗談を言ってるわけじゃありませんよね?あなたですよ、あなた.....
「なっ!?」
自称神の顔は冷然としていて、私にはそんな覚えは無.....沢山あった.....
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読んでいただきありがとうございます!
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