第2話 アタシの孫は気高く優秀なのよ!
それからのブリジットは、家庭教師や淑女としてのマナーの先生やダンスの先生、そして領地のことを教えながら生活していったわ。
スポンジが水を吸うように吸収していくブリジットを見ていて思ったのだけれど、彼女、頭はとてもいいのよ。
さすが悪役令嬢補正……と言うべきかしら?
五歳で引き取ってから十歳になる頃には、周囲から「神童」と呼ばれるまでに成長したわ。
その間に我が家にやって来たお見合い話は全てお断りしたわ。
無論、王子の婚約者にという話もあったけれど、「我が家のブリジットは家を継ぐのでお断りいたします」とお断りの旨も伝えた。
そもそも、王子が浮気するからブリジットは悪役令嬢になったのよ!
王子、絶対に近寄らせないわ!!
可愛いブリジットはデビュタントをクリアし、社交界にも出るようになる頃には、立派な我がカーバングルの跡取り娘に成長していた。
まぁ、幼い頃から領地の視察にも連れて行っていたし、水害や何か問題が起きればブリジットに難しくとも話をしながら進めてきたものね。
何より見た目よ!!
そこら辺の令嬢が霞むほど、うちのブリジットは美しかった。
遠巻きに見つめるチェリーボーイたちは、うちのブリジットを見つめるだけで顔を赤くし、声を掛けることもできないほど。
洗練された令嬢としての動き、そして何より美貌。
アタシは満足して微笑んだわ。
「どうですかな? カーバングル伯爵。うちの息子とブリジットを婚約させるというのは」
そんな蛆虫どもが次から次に湧いて出たわね。
第二、第三の息子をあてがおうとしているのはわかるけれど、うちの孫に見合うのかというと、そうでもないみたいだわ。
要は、早くとっとと家を継げない子どもをなんとかしたい親が多いみたいね。
だったら子どもを作らなければいいのに。
そうは思っても……致し方ないのが、この異世界かしらね……。
「結構。わが孫には、できれば大恋愛して相手を選んでほしいからね」
「でも、婚約していればいずれは大恋愛に発展することも」
「婚約はさせない。婚約をせずとも、ブリジットならば引く手あまたに令息の声は掛かるだろう。彼女が将来を共にしたいと思える男性と、婚約させる予定です」
そういえば、苦虫を噛む勢いでハイエナどもは去っていったわ。
うちのブリジットは、あなたたちみたいなハイエナもどきの血を受け継いだ息子と結婚させる気も、婚約させる気もないのよ。
あとは、王家からのパーティーのお誘いは……渋々出たわ。
けど、さすが我が孫。
見目麗しい女性たちの中で、王子が孫を見初めた時――。
「大変嬉しいお言葉でございますが、わたくしはカーバングルの跡取り娘。王子様の婚約者にはなれません」
「領地等、他の者にさせればよいではないか」
「本気でそう思っていらっしゃいます? だとしたら、王子の発言として少々問題があると思いますが」
「なっ」
「わたくしたち貴族は、領民あっての貴族です。民あっての貴族ですわ。その領民、民を守ることこそが貴族としての務めと祖父から叩き込まれましたの。その考えができていない王子とは……申し訳ございませんが、ご縁がなかったとしてお断りいたします」
ハッキリ言ってのけた我が孫に拍手しながら近寄り、王子にアタシも牽制。
王子はタジタジになって逃げていったわ。
ふふん。
アンタのような浮気する男に、うちのブリジットはもったいないのよ。
アンタはせいぜい、頭がお花畑のヒロインとくっついて、破滅の道を行くといいわ。
「ブリジット、素晴らしい返答だったよ。見直してしまった」
「ありがとうございますわ、お祖父様」
「君は私の誇りだよ」
「嬉しく思いますわ」
こうして、アタシたちはさっさと王室のパーティーから抜け出したのだった。
いつまでいても、ろくなことにならないものね。
ブリジットが美しく可愛いからと、他のチェリーボーイたちも群がってきそうだったし。
恋愛なんて学園に入ってからでいいのよ。
そこで運命の出会いがあれば……それに越したことはないわ。
無論、王子とヒロインが通う学園には行かせないけどね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます