第3話 アタシの可愛い孫を悪役令嬢になんてさせないわ

 そうこうしているうちに時は過ぎ去り、どこに出しても全くおかしくもない、完璧な淑女となったブリジット。

 女伯爵の道を突き進む彼女は気高く、そんなブリジットに群がる男たちをちぎっては投げ、ちぎっては投げ……。

 まるで延々と続くかのような釣書が届いては暖炉で燃やしたわ。

 


「明日からは王国魔法学園ね」

「はい、でも宜しかったのですか? 王立学園でなくて」

「いいのよ。貴女には魔法の才能が強くあるから、ただの社交の集まりよりも、王国魔法学園の方が向いているわ」

「それもそうですわね。そこで婿養子を探してこれれば良いんですが」

「恋愛は焦らずよ。素敵な殿方が見つかったら、恋バナしましょ♡」

「はい、お祖父様!」


 こうして――この国の王子とヒロインが通う学校とは別の、王国魔法学園に入学させたわ。

 ひとまずは……これで安心かしらね。

 ヒロインとあわなければあの子は一応安全だと思うし、ブリジットは王子を毛嫌いしているもの。

 それに、ポンコツ第一王子は王立学園に行くけれど、第二王子は来年王国魔法学園に入学するわ。


 ちなみに、ポンコツ第一王子には婚約者がいるそうよ。

 哀れな女性ができたわね。

 ブリジットには大恋愛してほしいけれど、彼女の理想の男性がアタシなのだから、なかなか見つからないかもしれないわ……。

 どうかしら。どうなのかしら?


 そんなことを思いつつ、ブリジットの将来を見守ることにしたの――。

 無論、ポンコツ第一王子がどうなっているのかも含めて、チェックは入れるけれどね。

 影に調べてもらってる間、ブリジットのことと第一王子のことは随時連絡を受けたわ。


 第一王子は案の定、尻軽ヒロインとくっついたようね。

 しかも身体関係まであるとか……。

 可愛いブリジットを入れなくてよかったわ。


 ブリジットの方は魔法を極めるために頑張っているし、そこで知り合ったと上手くいってるみたい。

 お祖父様みたいで安心するんですって。


 第二王子は入学してきたけれど、その頃には先輩と良い仲になっていて、入る隙がなかったそうだわ。

 

 

 うちのブリジットの婿には最適だったわ。

 あとは二人が愛を育んでいけば……。


 ――そう思っていた矢先、


 それを聞いて、アタシは即座に動いたわ。

 

 これで婚約しているブリジットに手を出せないはず。

 結果――それは当たっていて、第二王子はブリジットと結婚しようと画策していたみたい。

 でも、彼女は既に婚約済み。

 しかも愛し合い、仲も良好なファブリズと。

 おかげでストーカー気質だと分かった第二王子とは縁を結ばずに済んだし、めでたしね。


 その後、ブリジットは学園で最後まで愛を貫き通し、ファブリズは魔法騎士団に入団。ブリジットはそのまま経営学の方に進んで順調……


 ファブリズが卒業した途端、ストーカー第二王子がブリジットへの執着を始めたの。

 ブリジットは日に日に笑顔が消えていき、相談を受けることになったのだけれど、最早ヤンデレだと言わんばかりだったわ。


「お祖父様、どうしたら良いのかしら……わたくし怖いわ」

「そうね……。なるべく一人にならないこと。もしくは貴女の頑張り次第だけど……」

「けど?」

よ」

「飛び級……そうでしたわ。飛び級制度があるんでしたわ!」

「貴女は基礎も応用も全てできているのだから、頑張り次第では飛び級はいけるんじゃないかしら?」

「頑張ってみます! 今からでも遅くはないわ。すぐに取り掛かって来年には卒業いたしますわ!」

「ええ、それまでは身の安全の確保を。うちの影も使っているけれど、危なくなったら助けに入るわ」

「……ありがとう、お祖父様」


 ――それからのブリジットは勉強に集中し、テストの点数も上位をキープし、第二王子を突き放してトップを常に走り続けた。

 そして、彼女の頑張りの末、飛び級で学園の卒業が決まったの。


 これに大慌てしたのは第二王子よ。

 あと一年あると思っていたら卒業だものね?

 何か仕掛けてくると思い、影を増員してブリジットを守ったわ。

 卒業までは気が抜けないけれど、アタシもハラハラしたものよ。


 なにせ相手は第二王子。

 常に気を張っていないといけなかったの。


 でも、影のおかげでブリジットは悪の手を免れて卒業したわ。

 最後の最後まで悪あがきしようとしていた第二王子は……撃破できたのよ。

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