第3話 同窓会の知らせ
六月のある日、大学の同窓会の知らせが届いた。卒業から五年。節目の年だから、みんなで集まろうという企画だった。
幹事は、大学時代の友達の美咲だった。久しぶりに電話がかかってきた。
「彩花、同窓会来るでしょ?」
「うーん、どうしようかな」
正直、迷っていた。優也も来るかもしれない。五年ぶりに会ったら、何を話せばいいのか。
「来なよ。みんな彩花に会いたがってるし」
「みんな...って、誰が来るの?」
「今のところ、二十人くらいかな。あ、優也も来るって」
心臓が跳ねた。
「そう、なんだ」
「気まずい?」
「ううん。もう五年も前のことだし」
強がって答えたけれど、美咲には通じなかった。
「本当に? あんなに仲良かったのに」
「もう、過去のことだから」
電話を切った後、私は部屋の窓から外を見た。梅雨の空は、どんよりと曇っていた。
優也に会ったら、何を話そう。普通に挨拶して、近況を報告し合って、それだけで終わるのだろうか。それとも、あの日のことを話すべきだろうか。
「もう一度だけ、伝えたいことがある」
そう思った。ごめんねと、ありがとうと。あの時、感情的になってしまって、ごめんねと。でも、一緒にいてくれた時間、本当にありがとうと。
それだけ伝えられたら、私はきっと前に進める。
同窓会に参加することを決めた。
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