第3話
「いやぁ、やっぱりバイクは爽快だねぇ」
町を出た俺と六凪はキーの刺さったまま放置されていたバイクを盗んで高速道路を走っていた。
運転しているのは俺ではなく六凪で俺は情けなく、六凪に必死にしがみついていた。
バイクに乗るのも二人乗りするのも初めてなのでかなり怖い。
「そんな怖がらなくてもいいのに。」
六凪は情けない俺を笑いながら言った。
「なあ、六凪って確か今十六歳だろ。なんでバイク運転できんだよ。」
「高校入学祝いに父さんが乗り方を教えてくれたんだ。たまに父さんのバイク借りて免許なしで乗ってた。」
「結構やんちゃしてたんだな。」
「そうだな。結構、暴れてた気がする。」
「なあ六凪、少し質問していいか?」
「いいよ、なんでも聞いてくれ。」
「六凪は本当に高校生なのか?」
「もちろん、ぴちぴちの高校生だよ。」
「俺には中学生にしか見えないんだよな。」
六凪の身長は150センチ程度で顔もどこか幼く見える。小学生でも違和感なさそうな見た目だ。
「はあ、ひど。そう言うあんたこそ見た目殆どおじさんじゃない。」
「俺は大学生だぞ。」
今の俺の姿は髭も髪も伸び放題の原始人のような格好であった。
「ハサミと髭剃りが欲しいな。最低限の身だしなみとして髪を整えて髭を剃りたい。」
「髭剃りはないけどハサミならあるよ。次の街ついたら切ってあげようか。」
「本当か、助かる。かっこいい若者風に切ってくれ。」
「それじゃつまんないからダンディな髪型にしてあげる。」
「頼むからまともな髪型にしてくれよ。」
最初は怖かった二人乗りも、こうして六凪と雑談していると、恐怖心は不思議と薄れていった。
それどころか景色を楽しむ余裕まで出てきた。
雑談と景色を楽しみながらゾンビに会うことなくツーリングをしていると、六凪がゆっくりと停車する。
「どうして止めたんだ、六凪。」
「いやぁ、次の街まで持つと思ってたんだけどな。ガソリンが切れちゃって。ここから歩くしかなくなった。」
「歩くのは別にいいが、夜はどうする。泊まるところなんてあるかな。」
「まあ高速道路だしパーキングエリアか何かがどっかにあるでしょ。」
六凪と俺はバイクを放り投げて高速道路を歩く。
「もし車に乗る生存者がいたら引かれるね。」
「それは車で轢き殺されるってこと、それともあたしがゾンビを食料にしていることをドン引きされるってこと。」
「どっちもあり得そうだな。」
他愛のない雑談をしながらゆっくりと高速道路を歩いていく。
文明が滅んだあとの高速道路なんて大量の車が大破して打ち捨てられ、ゾンビがたくさんいるものだと思っていたがそんなことはなく、ゾンビもいなければ車も無かった。
よく考えて見れば事故でも起こらない限り人が高速道路に降りることなんてないし、
ゾンビが道路で増えるはずもなかった。
三時間ぐらい歩いていると何事もなくパーキングエリアにたどり着くことができた。
パーキングエリアの駐車場にはちらほらと車が止まっていたがゾンビは見当たらなかった。
「この様子なら中にゾンビはいないかな。」
「そうだね、ゾンビはいないな。あたし、おなかすいたから食べたかったのに。」
しょんぼりする六凪を連れてパーキングエリアに入るのだった。
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