第21話

「そうだな。俺だって、あの行動に大した意味は見出していない。ただ、あの二人が殺人側のリスクを把握していれば、他の殺人側生徒にも認知される流れを作りやすいと思ったんだ。そうすれば、無謀な殺人も減らせるだろ?」

「へぇ、そういうこと。確かに、あの二人は信頼が集まりそうだもんな」

 そう言って天井を見つめる千石は納得した様子を示したが、俺自身はっきりと自分の気持ちが理解できていない。須川の相席を受け入れたあの瞬間から、ずっと……。

「まぁ、そっちはいいとして、もう一個聞かせてくれよ」

 相変わらず自分探しに熱中していると、再び千石が口を開いた。次から次へと……、実に忙しい奴だ。

「お前、人を殺すのか?」

 ……。

「殺す、と言えば満足なのか?」

 あまりにも直接的な質問過ぎて、多少動揺してしまったが、なんとかそれっぽい解答はできたと思う。

「満足って言うか……。それってどうなんだろうと思ってな」

「……? 何が言いたいかはっきり言えよ」

「お前、あいつ等の前で言ってたよな。大人共を出し抜くって。そのためならなんでもするとかなんとか」

「結局何が言いたいんだ?」

「だからよぉ、クズ以下の大人共が作ったルールに従って人を殺すのって、お前が言ってた『出し抜く』ってこととは違うんじゃないか?」

「……」

「なんつーか、こう。結局、従ってんじゃんみたいな。でもこれって、どうしようもないんだよなぁ……」

 千石が口にした言葉はあまりにも重くのしかかった。

 どうやら、覚悟と決意の末に握り締めた希望の糸も、結局は俺達を操るための糸だったらしい……。

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2025年12月29日 08:00
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有罪学園 幕乃壱 洸 @noichi0513

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