第15話

 現状を鑑みれば、その意識すら抱いてない人間も多いだろう。さて、殺人側には卒業する気のある奴が、どれだけいるのやら……。

「二人とも、相席しても良いかな?」

 殺人側の未来に危機感を抱いていると、突如として相席を求められた。

 席ならまだ大量に空きがあるはずなのに、なぜ相席を求められるか理解できなかったが、その存在が例の質問君だったことにより承諾した。

「あぁ、問題ない」

「ありがとう」

 そうお礼を告げる彼が千石の隣に着席すると、後から遅れて質問君と仲良くしていた女子生徒も合流した。

 俺達の顔を見るなり不満ありげな表情を見せていたが、こっちだって好きで相席なんてしている訳じゃないんだから、そういうわかりやすいのは我慢して欲しい。

 わざわざ俺の隣にあった椅子を移動させてまで、質問君の隣に座ると、彼女は何も言わずに手元のパンを千切って口に運んだ。

「ところで、君達は随分と仲が良いみたいだね。ここに来る前から友人だったりするのかい?」

「お、そう見えるか? でも、要とはここで仲良くなっただけだ。……えっと、ところで誰だお前?」

「おっと、ごめんね。同じクラスだから、名簿で確認しているものだと思っていたよ。僕の名前は須川誠司。そしてこっちが志村琴音。よろしくね」

 個人的には、事前に名前を確認している方が珍しいと思う。まぁ、自己紹介が必要ないなら楽でいいが。

 俺は変わらず食事を続けるが、

「ほぉ。それで、二人はどういう関係なんだ? やっぱ付き合ってんのか?」

 いきなり深入りし過ぎだとは思うが、こいつがそう思う理由もなんとなく理解できる。なんというか……くっつきすぎだ。

「えっと、一応交際させてもらってるよ」

 あからさまに照れる様子の発言に、志村は不満を感じたらしい。

「ちょっと、一応ってどういう意味?」

「あ、いや、人前だから謙遜しただけだよ。大した意味なんてないから」

 やはりか。まぁ、聞く前からわかっていたようなものだが。

「おーおー、これまた随分とお熱いこって」

「僻むなよ。みっともない」

「僻んでねぇよ! 俺だって、本気出せば彼女の一人や二人くらい余裕だっつーの」

 何をムキになっているのかわからないが、千石の嫉妬心は一旦無視するとして、気になるのは俺達と相席した理由だ。

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