第14話
「それにしても、おもろいこと考えるなぁ。当たり前だと思ったことも、疑わねぇとダメってことか」
こいつ、廊下でも話し続けるのか。後、そんな話をした覚えはない。
「なんつーかこう、直感なんだがよ。お前は卒業しそうな気がするな」
「それは、俺が人殺しに見えるってことか?」
「いや、そういう訳じゃねぇよ、要。あ、これから要って呼ぶな。俺のことも湊って呼んでくれていいからよ」
ダメだ。返答したら会話を続けられてしまう。もう、こいつを黙らせるには、無視に徹するしかなさそうだ。
「なぁ、いいだろ?」
「……」
「なぁ、無視するなよ。なぁ、なぁ、なぁ」
「……勝手にしろ。俺は千石でいい」
「おいおい、つれねーな。ま、それでもいいや。これからも一緒に頑張ろうぜ!」
協力的な人材が増えるのはいいことではあるんだろうが、どうしても面倒事が増えたようにしか思えない。さて、どうしたものか……。
俺のそんな悩みなどお構いなしに、どうでもいい会話は続けられた。無視しても、詰め寄ってくる強気な態度を示され、適当な相槌での応戦を余儀なくされた。しかし、それを続けた結果、いつの間にか相棒にされていたようで、早くも二度目の後悔をすることとなった。
・・・・・
苦難の末、食堂に着いた俺は、まずその広さに驚かされた。
これだけ広ければ、この学校にいる全員が一度に訪れても入りきりそうだ。そう思わせてくれるほどの広さと設備が備えられている。
俺はさっそく、そのバリエーション豊かなメニューからシンプルなうどんを選択して、食券の購入を済ませた。そして、しばらく待てば注文番号が大型モニターに映し出されて完成を知らせた。
「それで、要はこれからどうするんだ?」
「……」
注文した食事を運び終わり、席に着くなり、不用意な質問に悩まされる。
直接的な表現は避けられているが、俺達にとってのそれは殺人を意味している。よって、こんな大勢が集まるところで話せる問題じゃない。
とはいえ、千石との意思疎通がなんらかの形で影響を及ぼす恐れは大いにあるため、可能な範囲での対応はするべきだろう。
「悪いが、まだ何も決めてはいない。そもそも、お前は俺のことなんて気にせず、自分のことを先に考えるべきだろ」
「そう言われちまえば、確かにそうかもな。テストで減点されないようにしねぇと」
別にそういうつもりで言った訳じゃないが、減点を気にするということは、こいつにも卒業する意思はあるということか。
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