第11話
「では、これより学園内における重要事項を伝える。その前に、まずは名乗らせていただこう。私は、この殺人側Aクラスの担当監視官、上園だ。よろしく頼む」
クラスメートの全員が集まったことにより、上園と名乗ったその監視官によって説明が開始された。
「最初は君達が最も気になっているであろう、この学園における単位という存在の扱いについてだ。周知の通り、単位とは即日卒業を可能とする手段であり、それ以外の方法で卒業することは不可能という代物だ。そして、卒業時に獲得した単位の数に応じた報酬も存在する。と言っても、単位数×百万円という単純なものだが」
上園監視官はさらっとそう言いのけたが、その巨額の数字に生徒たちは見事な反応を見せた。
「何を驚いている? お前達の端末にはすでに一人、百万円が支給されているはずだ。そして、月初めにも毎月百万円が支給される。この学園内でしか使うことはできないが、卒業時に余らしていれば、それも報酬として現金で支給される」
そう言われて、教室内の生徒は揃って電子端末のクレジットを確認した。そこには確かに、利用可能な状態の百万円があった。
「次は授業に関してだが、まずは、机の横にかかっている通学鞄の中を確認してくれ。学園内の授業ではそのタブレットを使用してもらう。よって、一般科目は基本自習になるため、参加は任意で行ってくれて構わない。ただし、定期テストで五十点未満を取った生徒は減点対象になる。しかし、点数が五十点未満であっても、授業への出席数によっては補填可能な場合もあるため、不安な者は参加することを推奨する」
淡々と続けられる説明に一つの疑問を抱いていると、体育館でも質問をしていたあの生徒がまたしても質問を投げかけていた。
「すみません。減点とは具体的にどういった影響を及ぼすのでしょうか?」
「言葉通りの意味だ。単位を獲得した場合、持ち点として一点が加算される。しかし、減点対象になれば、持ち点から十分の一が減算される。卒業時に必要な単位というのは持ち点一点のことを示すため、もし単位一つ獲得したとしても、減点対象になれば卒業は叶わなくなる。更に言うと、減点は永続的に反映されるため、減点対象となった時点で、卒業するには二度の単位獲得が必要となる。これで、いいか?」
「あ、はい……ありがとうございます」
言葉通りと言うには説明が必要だったように思えるが、簡単に言うなら、減点対象になれば卒業は絶望的ということか。
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