きじむなぁを見る方法

私の住む地域では、きじむなぁと呼ばれる妖怪がいる。

キジムナーでは無く、きじむなぁだ。

この地域では(ナンクルナイサー)ではなく(なんくるないさぁ)のように、語尾を伸ばすのだ。

そんな(きじむなぁ)と私の父は会った事があるそうだ。


父がまだ小さかった頃の話だ。

夜寝ている時、突然目が覚めた。

胸からお腹にかけて苦しい。

まるで、何かが上に乗っているようだ。

手や足を動かそうとしても、押さえつけられているように動けない。

目ははっきり見えるが、声が出ない。

必死でもがいていると

「わっ!」

と声が出た。

その瞬間、身体が軽くなった。


このような事は"きじむなぁに乗られる"と言って、昔はよく起きた事らしい。

私自身や友人で、このような体験をした人はいない。

何故、現代ではきじむなぁは現れないのか?

きっとそこにはきじむなぁが匂いに敏感という事が関係しているのだろう。

伝承ではきじむなぁは赤い長髪で子供の姿をした妖怪らしい。

ガジュマルの精霊で好きなモノが魚の目玉。

そして嫌いなモノが、タコとオナラなのだ。

オナラが嫌いなきじむなぁにとって、肉食が当たり前になった現代人はきっと臭いのだろう。

もしかしたら、匂いのついた洗剤で洗った服やシャンプーの匂いが染みついた髪が苦手なのかもしれない。


もしあなたがきじむなぁに会いたいのならば、今すぐ肉食を辞めて魚と豆、そして芋だけを食べるべきだ。

そして、洗濯も洗濯板と川の水で行う。

髪や身体を洗う時も、川の水だけで清める。

それを長い間続ければ、あなたの前にきじむなぁが現れるかもしれない。

私はきじむなぁが目の前に現れずともガジュマルの枝に座って、現代社会を見守っていると信じるだけで幸せだ。

なので私は美味しい肉や良い香りのする服、朝イチのシャンプーを心から楽しむ事にする。

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