べとべとさんを見る方法

暗い夜道を1人で歩いていると、背後からペタペタと音がする。

その音は裸足で誰かが後ろからついてきている、そんな音だ。

振り向くと誰もいない。

歩き出すと、また背後から音がする。

これはべとべとさんの仕業だ。

べとべとさんは江戸時代にはよく現れていたようだ。


現代にもべとべとさんはいると思う。

暗い夜道が少なくなって、見えづらくなっただけだ。

子供の頃、暗い夜道を歩いている時に背後から気配を感じた事はないだろうか?

怖くて振り向けなかったその時、べとべとさんはきっとそこに居た。

振り向いたけど見れなかった人も、べとべとさんがサッとどこかに隠れただけかもしれない。


どこに行っても街灯や自動車のライト、建物から漏れ出す光によって明かりが絶えない世の中だ。

1人で真っ暗な所に行っても、スマートフォンの液晶ライトが夜道を照らす。

べとべとさんに会いたいなら、暗い夜道をスマートフォンの電源を切って歩いてみよう。

明かりが嫌いで寂しがり屋のべとべとさんは、あなたに近づいてくるかもしれない。

しかし、現実問題それは難しい。

連日流れてくるニュースを見ていれば、暗い夜道を連絡手段も確保せずに1人歩く事がどれだけ危険か分かるだろう。


べとべとさんは今でも夜道の影であなたを見ている。

きっと昔のように、人間を怖がらせようと夜道で待ち続けている。

願わくば、今を生きている子供達が

「べとべとさんが出た!」

と泣きながら家に駆け込んでくる。

そんな時代が来て欲しい。

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