【10月26日配信】 闇写カメラ検証 前編

「はいどうも!曰く付き収集クラブへようこそ!

 今回は9月に投稿した『闇写カメラ』の取材に行ってきたよ!……っとその前に、まずはコメント返しから!

 『ちっちゃい手袋かわいい』分かる!こんな小さい手袋使う人間おるんか!?ってなるよね。

 『スマホカバーかと思ったら手袋だった』小さすぎてスマホも入らないよ!

 『握るギミックどうやってるの?』ギミック言うな!マジだから!マジ!」


 井出の軽快なコメント返しで動画撮影が始まった。

コメント返しを終えると『闇写カメラ』をテーブルの上に置いて本題に入る。


「はい!さっき言った通り今回は『闇写カメラ』の取材に行ってきたんですよ!『闇写カメラ』って何?っていう御新規さんや最近登録してくれた視聴者さんは、この動画の右に表示されてる一覧を少し遡って……って、見れなくなってたな!ごめん!解説するわ!」

 井出はウハハと笑いながら、これまでの経緯を簡単に解説して『闇写カメラ』をこちらに近づける。

 

「というわけで……今回の取材まとめ、行きます!」


画面はカメラチェーン店と中古カメラ店で撮影した映像に切り替わり、店員の顔や店の場所が分からないよう大きくぼかしが入る。


「いやー、まずね、店主さんマジで怖がってた!解放されてよかったね!カメラに憑いたゴーストは俺達がバスターするからね!」

 いつから退治屋になったんだ。と田口は呆れながら静かに笑う。

「で、みんな気になってるかもしれないけど、俺も相棒も視界が暗くなってるんじゃないの?とかは無い!あと、これは推測なんだけど、ホラーでよくある『見た時点でアウト』とは違いそうだから、視聴者のみんなも大丈夫!多分!」

 田口が「多分って……」と小さくツッコミを入れると、井出がアイコンタクトを送ってきたので、画像編集のためにノートパソコンの準備をする。

「というわけで、店主さんがやってた画像の編集、俺たちが撮った画像で今からやっちゃいます!編集手順をメモしてくれてた相棒に感謝!」

 画像編集ソフトを開いたノートパソコンとメモを井出に渡し、ノートパソコンの画面が映るように画角を変えると、井出が何かを思いついたらしく手をポンと一度叩いた。

「これアレだな!今から写真撮って、それを編集した方が盛り上がりそうだな!よし、そうしよう!」

 そう言って『闇写カメラ』を手に取ると立ち上がり、ベランダから見える景色と『曰く付き』が並んだ棚に向けて一度ずつシャッターを切ると、液晶モニターをこちらに向ける。

 やはり、一分もしないうちに端から黒くなってしまった。

「……はい!黒くなりました!いや、なんで黒くなるんだよ!って言いたくもあるんだけどね?」

 苦笑いしながら『闇写カメラ』とパソコンを改めて繋ぐと、真っ黒なサムネイル一覧が表示された。

 

「……一覧で表示すると、最早ギャグだな。」


 井出は少し考えて、撮影日時を頼りに“ベランダからの景色” と “曰く付きが並ぶ棚”の2枚を選び出すと編集ソフトに読み込ませた。

 田口は、カメラをノートパソコンの画面へ寄せ、操作が見えるように角度を調整した。

 

「はい!ここから編集タイム入ります!店主さんがやってた手順、相棒がちゃんとメモしてくれてたから再現できるはず。マジ感謝!」


 井出が手に持ったメモをカメラに向けようとしたが、人に見せることを想定していない覚え書きだった為、田口はそれを手で静止すると、意図を察したのか笑いながらパソコンに向き直った。

 

「ごめんごめん!このメモは企業秘密らしいです!

 えーっと、まずは“黒くなる直前の明るさ調整”ね。コントラストを……こうして……って、秘密バレバレやないかーい!」

井出のセルフツッコミと共に編集が始まった。

カチ、カチ、とマウスを動かして調整するたびに、まるで”触られるのを嫌がっている”ように、画像の黒がわずかに揺れる。

「明るさをいじってるだけなのに… なんか変な動きしてない?俺、あんまり詳しくないんだけど、画像編集の時って、こういうもん……?」

慣れない手つきで明るさを調整し終えると、画面にはボンヤリとモノクロに近いベランダの輪郭が現れた。

「次は、色調?色レベル?ってのを調整……って、どれだ?」

 田口は見かねて横から画面に手を伸ばし、『色調補正』と表示された部分を指差す。

「お、サンキュ。この色相?ってのを…」

 メモを読みながら数値を入力した後、実際の画面を見ながら微調整していく。画像が少しずつ色を取り戻し始め、ベランダからの街並みが見えたところで、田口が思わず出した「ん?」という、カメラも拾わないような小さい声に、「どした?」と手を止めた井出に小さく耳打ちをする。

「えーっと、相棒が何か気づいたようです!……床?あ、これか!」

 田口の指示で拡大されたベランダの床の隅には、黒い影のようなものが写っていた。

「なんだこれ?こんなとこに物あったか?」

 ベランダに行き、黒い影が写っていた方向にカメラを向けるが当然、何もない。二人は首を傾げながらパソコンの前に戻る。

「ま、まぁ、まだまだ調整は続くからな!このしつこい黒も剥がしてやるぜ!」

 井出は気合を入れ直して編集を再開した。


「あー……っと、黒は剥がせました。剥がせました…けど、なんだこれ…?」

 メモに書かれた調整を全て終えたノートパソコンの画面には、ベランダから見える風景が問題なく写し出されている。しかし問題は先ほど確認したベランダの床だった。

「これが、店主さんが言ってた『黒い影』なのかな?手じゃなくて足跡だけど…」

 井出が指差した場所には、黒い裸足の足跡が残っている。色々な数値を調整したが、どうしてもこの足跡だけは消えなかった。

「ひ、ひとまずこの足跡のことは置いておいて、もう一枚の画像も編集いくぜ!」

 井出は手を叩いて気を取り直すと、“曰く付きが並ぶ棚”の写真の編集に取り掛かった。

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