10月25日 井出宅

「じゃ、動画を撮影する前に一旦、今日の話をまとめるか!」

 井出の家で、テーブルを挟んで向かい合うと、今日の取材で得た情報などを紙に書き出すことにした。

 

1. 撮影した写真は1分以内に黒化する。

2. 連写した場合、複数枚が同時に黒化する。

3. 原因はレンズではなく“カメラ本体”側。

4. PC取り込み後も黒いが、編集すると像が浮かぶ。

5. 編集後の写真には“黒い手のような影”が写っている(店主のみ確認)

6. 撮影者の視界が暗くなる・煤のような影が見える等の症状あり。

7. 撮影者が交代すると前任者の症状は消失する。

8. 解放時、黒化していた写真データは“元データ自体が正常化”する。

9. ただしPCに取り込んでいた黒化ファイルは黒いまま→編集すると“黒い手のような影”は消えている。


 取材の映像を見ながら書き出した紙を見て、田口が腕を組んで唸っていると、井出ら切り替えるように手を叩く。

「えーっと、とりあえず…ここから気になる点を上げていくか!」

 田口も「たしかに唸っていても仕方ない」と思い、気になっていたことを話し始めた。


「まず、店主と俺達で症状が違う。店主は自分自身の視界が暗くなったのに対して、こちらは『動画』が暗くなっている。」

「それな!店主の話聞きながら内心『あれ?なんか違くね?』って思ってたわ!」

 井出も同じことに気付いていたことがわかると、田口は話を続けた。

「で、少し考えたんだけど。俺達は『カメラ自体を動画で撮影してる』んだよ。だから、症状が俺達のどちらかじゃなくて『動画』に出てる……とか?」

 自分で言っておいて、荒唐無稽な話をしているなと考えていると、井出は真面目な顔をしながら

「肩代わりしてくれたってことか…」

 と呟いた。

「肩代わりってのが正しいかどうかわからないけど、現状、店主と俺達の『闇写カメラ』に対するアクションの違いがそれぐらいしか思いつかない。」

 理由はわからないが、二人とも視界が暗くなっていないことは事実なので、この問題は一先ず置いておくことにした。


「で、次は、俺達が撮った写真なんだけど…田口、あの店主がやってた編集の内容覚えてる?俺、写真ばっかり見ちゃっててさ」

 苦笑いする井出に、田口はメモを取り出して見せる。

「流石相棒!しっかりしてるぜ!……で、その写真の編集は動画撮りながらやろうと思う。」

 田口は少し不安な気もするが、撮れ高を考えると井出の気持ちも分かると思い頷くと、二人は撮影の準備を始めた。

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