第2話 魔法使いじゃないの!?
「いやー。ご馳走様でした~。おいしかったです~」
いやいや。このまだまだよくわからない世界の料理もなかなか……。
見るからにおいしそうな料理だったから、残さず全部食べちゃっちたけど。
それとも意識不明の夢の中で、あたしが勝手に想像した味なのか。
それに異世界転生なんてあり得るわけない、ない。ジョーダンに決まってる。
「ところで、ここはなんというトコロですかー?」
「はい。ここはハイトという村です」
このポタくんのお母さんマーニャさんも、如何にも優しそうな人だなぁー。ポタくんが8歳っていってたから、このマーニャさんは見るところ、
「それではこの村で、なにかお困りごとはありませんかー?」
これもロールプレイングゲームでは、定番中の定番の質問だもんね。
「このハイト村に入る前に、大きなバケモノを退治しましたがー」
「!?」
えーーっ!? どうしてあたし見て、そんなに怯えた顔してんのーー!?
ここは素直に安心して、「ありがとうございます」って、感謝される場面じゃないのーー!?
「そ……それでそのバケモノは?」
「あ……消えました。魔法で……粉々に
あたし、なんか悪いことした?
「ミコトのお姉ちゃんスゴーイ! あのバケモノを退治したなんてー!」
そう。これでしょ! これが正しい反応だってー!
「あっ、そういえばポタくんのお父さんは?」
あれ? なんかこれも反応がおよろしくない……む。
気になったこと、すぐ聞いちゃったけど、いけなかったかなぁー。
「ごめんなさい。あたし余計なこと聞いちゃいました?」
「いえ。主人は村の外に働きに……」
「そ……そうですかぁー。ポタくん、お父さん早く帰ってくるといいね」
「うん! 父さん、早く帰ってこないかなぁー」
うん。このマーニャさんの反応を見るに、これ以上は余計なことは聞かないでおこう。そうしよう。
「ミコト、今日は家に泊まっていくんでしょー。ねぇ、いいよね母さん」
助かったぁー。それにしても、ポタはあっという間に呼び捨てだな。
でもこれで、今夜は温かい布団で眠れるー! 夢の中で眠るって、どういう感覚なんだろ。
取りあえず、明日からのことは、明日考えよう。
おやすみなさい。
♢
朝起きたら、夢から覚めて現実ーなんてことはなかったかぁー。
どうやらこれは、しばらく覚めない現実のみたい。
あぁー。これからどうやって生きていけばいいんだろ? 残り1年の最後の高校生活楽しみにしてたんだけどなぁー。でも大学受験しなくても済むから、それはそれでいっか。
さーて、今日からなにをしよう。いつまでもこの家にお世話にはなれないしー。
魔法使いなんだから、やっぱり魔法の練習かなー。まぁ、それしかないよね。
でも、魔法の練習って、どうやってするのー。この村にほかの魔法使いっているのかなー?
「あのー。すみませーん。この村に魔法使いの方っていますかー?」
来ました来ました。やっぱりいました。村に魔法使い。この魔法使いに習って、魔法の修行をするって展開ですねー。
「って、違うじゃーーん!?」
あたしが想像してたのと違うー! 老練の魔法使いみたいな人じゃないのーー!?
「あのぉー。つかぬことをお伺いしますが、本当にまだ魔法がつかえるんですかー?」
「へぁーー、なんですと? もう少し大きな声で」
「ですからー! まだ魔法は使えるんですかー!」
「あぁ……。今年おかげさまで
関係ないけど、
じゃあ、どうするどうすればいいのー!
「あーーっ!」
ってことで、修理屋さんをはじめちゃいましたー!
唐突? ノン、ノン、ノン! 取りあえず、生きてかなきゃいけないし、修理の腕が上がれば、魔法力も上がるはず。
場所はこのおじいちゃん魔法使いさんの家を間借りさせてもらっちゃいましたー。
師匠、これからよろしくお願いします。
この師匠の部屋の中が、壊れたものばっかりだったから変だと思ったんだよねー。
師匠が直せないなら、あたしが直す!
あっ、来た来た。さっそくー!
「いらっしゃいませー!」
ここはコンビニのバイト経験が役に立つよねー。お客様には愛想よく振舞わなくっちゃー。
「今日はどのようなお直しですかー」
「この花瓶、直して頂けないでしょうか」
「はい。奥様お任せください」
この壊れた花瓶に両手を当ててー。直れー、直れー、直れー! ほら、温かい電球みたいな灯りが出てー。
壊れてたところがくっついて、元に戻ってく……。あれっ!? 灯りが消えちゃったよー。
「すみませーん。ちょっとお時間いただいてもよろしいですかー」
おっかしいなぁー。きのうは一発で上手くいったのになぁー。
今日は使ってもいないのに魔法力が切れたー? きのうは偶然ー? たまたまー?
よーし、もう一回! 集中ー!
光の色が違う……白い光……。もうすぐ直りそう……。カチャーン!
どうしてー!? また壊れちゃったぁ!
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