第10話 最後に見たあの景色は

ーーーー暖かい。スズランの優しい匂いにつられ、ゆっくりと目を開ける。ただ、眩しかった。空気は透き通っていて、ひと息吸うたびに胸が温かく満たされる。そして、どこまでも花が咲き乱れている。風が髪をゆらし、花びらがひとひら、頬をかすめて落ちた。ふと、後ろを振り返った。光の先には、あの日の笑顔があった。濡れた頬を、柔らかい風が撫でる。花が揺れ、光が滲む。

その風に、柔らかな微笑みが乗って流れていく。


——それは、私がこの世界で最後に見た“命”のかたちだった。

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最後に見たあの景色は 小説家を目指す高校生NoA @yumetoNOA

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