camellia - カメリア -

沙華やや子

camellia ― カメリア ―

 この度は、恥さらしになってしまうかもしれぬが書こうと思う。


 わたしは、読まない。

 あんまり、読まない。否、ほとんど読まない。趣味と言えども表現者なのに。勉強嫌いなんだな。


 だから学校で習った『字下げ』なんてすっかり忘れていた。

 ちなみに横書きは字下げじゃないほうが、わたし自身が読みやすく感じるので、反感を買うかもしれぬがそうする。(※いや、このエッセイは字下げをしているではないか! と思われることでしょう。それについてはのちに記す)


 きょうびは鍵かっこ(セリフ内)に句点をつけないのが主流である、という事も最近知った。が、これも頑固なわたしは、わたしが句点を入れたいからそうする。(※それも気が変わりました)


 でも、これでもプロを目指すのだから、と思うけれど……自分が読みにくいものは人にも読みにくいんじゃないか? と感じる。


 このエッセイで言いたいことの主な話は上記のような文法についてではない。


 今すっごく、滅茶苦茶楽しくてしょうがない! と叫びたいんだ。


 わたしはポエムを幼い頃から綴っていた。二度離婚し今はシングルだ。結婚をし、詩作から遠ざかっていた。某雑誌のお便りのコーナーへ詩をハガキに書いて出せば、必ずと言って良い程掲載して戴いていた。とっても嬉しかった。


 書かない期間をもったいなかったな、とは思わない。あんまり読まないことについては、これから鍛錬して行きたいと思う。


 書かない期間、わたしは息子を生み、もがき苦しみ、息子を死に物狂いで育てた。

 辛い結婚生活は長くは続かず、子育てはママであるわたしと、公の期間の人の力と、時には遠く離れた実家の母たちの協力も得、行った。


 わたしが子どもの頃に、してもらいたくてもしてもらえなかったことを、やり尽くしたと言えるほどにがんばった。

 幼少期に性虐待に遭い、精神障害を負ったわたしは、他のママたちが簡単にできることが難しかった。

 でも、息子がまだ言葉をしゃべれない赤ちゃんの頃から、図書館から何冊も絵本を借りて来ては読んで聴かせた。

 息子はおしゃべりができるようになると、人差し指を立て「おっかい(もっかい)! おっかい!」とせがんで大変だった。

 息子が可愛くて、しあわせでたまらなかった。そして絵本がとっても面白く、読む時わたしは少女になっていた。


 だが、幼いころに大人から裏切りの仕打ちを受け、この世を信じられなくなったわたしは、本当に、ほんっとうに這って生きて来た。しつこいが真実だ。なにも自慢はしていない。事実なんだ。


 息子はわたしに愛を教えてくれた。自分の中にふんわりとした双葉のようなものが芽生えたのは、妊娠・出産の時ではなく、赤ん坊の息子を育てて行きながら少しずつだった。


 やっと人らしくなれたと思っている。

 息子は現在21才だ。自分の力で奨学金を使い大学生となり、バイトと奨学金だけで授業料や生活費を払い自活している。息子には感謝の想いが溢れる。


 わたしは温みを知ったんだ。人生において、小説を書くのは今。


 小説は2025年の春に生まれて初めて書いた。なんにも分からずにプロットを作らずいきなり、某コンテストへ向け、原稿用紙100枚以上の小説(?)のようなものをこさえた。

 プロットを書かずに何作品も作ったが、それらは全てのんべんだらりんとし、退屈だ。自分をなにも卑下しようとは思わない。わたしにはわたしのキラキラした魔術があるんだ。それが台無しとなる初期の作品群。


 これからはもっと精進し、うんとごきげんさんで書いていきたい。

 気分が乗らない時は書かない。だから、コンテストの締め切りに向け、わたしはかなりの余裕を持たせた計画を立てる。スマホの計算機を使い10万文字書きたいから……一日何文字は書くぞ! と言った具合。紙切れにメモをして、目に付く所に置いている。書いた文字数も緻密に記していく。少し自分がしんどくなるぐらいの計画を立てる。そうすると、おのずと締め切りまでの余裕ができる訳だ。


 作品への感想を戴いた時に、ハッとする。

 自分のハートに浮かんだ文章・頭をひねり綴った物語りで、読んだかたの心が動くって、凄くないですか? わたしは、旨く言えないけど…… そのことは感動的です!

 承認欲求なんてはるかに飛び越える。もっとずっとジャンプした、宇宙の端っこよりまだ向こう。そんな境地に至る。


 だれかの想いを包めたのかな、だれかの悲しみを気づかせたのかな? だれかにプレゼントできたんだね?! そんな風に嬉しくて、たまらなくなる。


 ぜんぜん読まない訳ではない。わたしは、カクヨム仲間のかたの作品に触れもする。

 よく泣く。涙がじわーと溢れる時、カタルシスを感じるし、優しく爽やかになる。面白い作品を読むと大笑いし、表現の煌めきに感嘆し、歓ぶ。


 ちなみに、自分の書いたラブコメなどを読み、わたしは一人爆笑する変態だ。


 ありがとう。

 この気持ちでいっぱいになる。先輩方の作品を読む時も、自分が書いている時も。

 兎に角嬉しい、うれしい!


 こんな素晴らしい贈りものを賜った。時にニヤニヤし、時に眉をしかめ、ある時は鼻汁を垂らし、涙をこぼしながら書いている。みっともなくて人には見せられない、わたしの執筆姿。でもそんな自分を褒めてやろう。

 よしよし! 今日も相当入れ込んでおるな! その調子じゃ、と。


『追記』


 このエッセイを書いた後日、わたしがインターネットに掲載しているあるフィクション作品について作家仲間様からコメントを戴いた。

「粗削りだが、面白かった! 読んでいてこちらが嬉しくなる文章!」と絶賛下さったのだ。


 幸せだ。


 が、無論ショックを受けたわたしだ。上記のようにこのエッセイで、文法への自分のこだわりを豪語していたら、こうやって「粗削りだ」と注意されたのだから。


 しかしその方はなんと、ダメ出しを分かりやすく箇条書きで「アドバイス」してくださったのだ。


 とても感動した。


 そしてきのう、約4万6千文字の書きかけの作品を初めから、先輩のアドバイスに従い書き直した。このエッセイもこれから文法をいじろう。


 わたしはそのコメントを読んだあと、先輩方の作品をたくさん読みたい気持ちが増えた。勉強する気力が湧いてきた。


 表現することで生まれる、叱咤激励・愛情(芸術への情熱ともいうような)・交流。


 やっぱり小説を書くことって楽しい!

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