第2話 舞、イケメン大和をアゴで使う

 それをクリスタル製の灰皿の上に落とす。黒い小さなボールには、避雷針みたいな小さな針が突き出ている。


 [第1話から続く]




 「これは何だ?」


 黒い小さなボールには避雷針みたいなものが突き出ているので、加瀬が聞いた。


 「いいから見てらっしゃい。ジイさん、灰皿の上にお椀か茶碗を被せてよ」


 「お椀?お椀はないが、これでいいか?」


 老バーテンダーが100均で買ったようなちょっと大きめの、樹脂製のキッチンボウルを見せた。


 「いいよ。使えなくなるから、その分は弁償する」


 老バーテンダーが灰皿の上にキッチンボウルを被せると、舞はポーチから携帯電話を取り出して、画面の中の赤いボタンを見せた。


 「よく見ておきな」


 舞が赤ボタンを押すとボンと強烈な音がして、被せたキッチンボウルが宙に浮いた。


 その場の皆の体が硬直して、底のクリスタル製の灰皿は3つに砕け散っている。


 あたりにはかすかな火薬の臭い。


 「なんじゃい!オリャあ」


 加瀬が怒って舞の首根っこを押さえて凄んだ。


 「ガタガタするんじゃないよ!灰皿を見たでしょう。これを押すだけであんたの心臓はぶっ飛ぶよ。電磁誘導の指向性の爆弾でね、灰皿は粉々になったけれどピンが上に向いたキッチンボウルはたいしたことない。アンタの胸ポケットに放り込んだものはピンがどっちに向いているか分からない。どう?命を賭けて丁半勝負をする度胸がある?悪運が強ければ助かるかもしれないよ」


 加瀬よりも、老バーテンダーの方が身を引いた。


 「どうしようって言うんだ?」

 と、加瀬が聞いた。


 「頭の悪い穀潰ごくつぶししだね。こんな奴を飼っている親分の顔が見たいよ。どうしようって話をしているんじゃないよ。どうしてくれるかと、こっちが聞いてんだよ」


 舞はポーチから煙草を取り出して口に挟んだ。


 誰も火を出さないので、老バーテンダーを見上げて要求した。


 「あんたんところの客か何か知らないけれど、このチンピラが私の友達を孕ませたのよね。ろすのにお金が要るの」


 「こいつに保険をかけて殺しちまえよ」


 老バーテンダーがライターの火を差し出しながら加瀬の方に顎をしゃくって、


「そのくらいの金はできる。いや、殺すと面倒だな。指に保険を掛けて、落としたらどうだ」


 「わかった。話しても無駄ってことね。こうなりゃあ親分のジイさんにも臭い飯を食って貰うしかないね。暴対法つってね、今じゃあ子分のやったことは親分の責任になるの。つまり、ジイさんの責任になるの」


 舞は椅子を立とうとした。


 「だからコイツは俺とは関係ない、ちゅうの。ただのカネにならない客だ」

 老バーテンダーが言った。


 「だったらどうしてコイツはここへ私を呼んだのさ」


 「そんなこと、知らねぇよ。コイツが女をはらませたというのも、いまはじめて聞いたくらいだから」


 「やっぱダメだね。警察に行くよ」


 「わかった。幾ら金が要るんだ」

 とうとう加瀬が折れた。


 「1本」

 と、舞は人差し指を立てた。


 「10万か。おやっさん、10万ほど貸して下さいよ」


 「寝ぼけんじゃないよ」


 舞がベランメェ口調で凄んで、


 「今時どこの世界で10万でろせんのよ」


 「100万?あんまりな話じゃねぇか。堅気が極道を脅してどうするんだ」


 「アンタが極道?笑わせるんじゃないよ。本物の極道が泣くよ。アンタはただのチンピラじゃないの」


 「100万も、ないぜ」


 「だから、ザケるんじゃないつってるのよ。それと20歳くらいの女性の健康保険証が要るのよね」


 「なんでだ?」


 「だってろすのに、保険証がなくちゃね」


 「保険証と言っても・・・」


 「アンタたちいろんな商売をしているでしょうが。堅気の衆からかすめ取った保険証の1枚や2枚、ないわけないでしょう」


 「100万と言われたってなぁ」


 加瀬が困った顔をした。


 「仕方無い。運転免許証は持っているわよね?出して」


 舞は加瀬の運転免許証を要求した。


 「どうするんだよ」


 「昔のやり方だけど、サラ金を回ってアンタにカネを借りて貰うのさ」


 舞が言った時、1番奥の若い女が肩掛けポーチから札入れを取り出して、100万円の帯封がついたままの札束を掴み出し、カウンターの上を滑らせた。


 「どこの誰だか知らねぇけんど、放っておいてくれ。10万ならと思ったけんど、100万も吹っかけてくるこんな言いがかりにカネを払っていたんじゃあ、幾らカネがあっても足りゃあしねえ。第1、俺が妊娠させたかどうか、分かりゃしねぇしな」


 「アンタ、そんな卑怯な言い訳をするの?」


 舞は頭にきた。


 「事実、そうじゃないか。俺の他にも男とヤッていたしよ」


 加瀬がふて腐れた。


 「他の男とヤッていたかどうかということは関係ない」


 と、札束を出した女が割って入って、


 「アンタ、ナマでやったんでしょ。コンドームを着けた?」


 「いや、コンドームは着けていないが」


 「だったらアウトだよ。みっともないからヘタな言い訳をするんじゃないよ」


 と、言ってからバーテンダーを見て、


 「横哲の叔父貴、こんなヤツをよく店に入れているね。私が立て替えておくから、コイツからは搾り取れるだけ搾るのよ」


 「へい。わかりました。そこのネエちゃん。これを持って帰れ」


 老バーテンダーが100万円の束を舞の方へやった。


 「だから健康保険証が要るのよ。二十歳はたちくらいの女性の」


 舞は要求した。


 「わかった。手配する。今すぐないけれど、どうしたらいい?」


 カネを出した女が聞いた。


 そうね、とそう言われると舞も困って、


 「郵送してもらえる?なるべく早く」


 郵送?


 それを聞いて奥の3人の男女は声を出して笑った。


 「身元がバレてもいいの?明日にでもここへ取りに来れば?」


 もう1人の女がはじめて舞の方を見た。


 目元のぱっちりした、美しい女だった。


 まだ若いので舞はビックリした。

 私と変わらない。

 連れの男は30歳くらいだが、女の子たちはもしかして、高校生?


 高校生のくせに酒を飲んでいる?


 「手前のオッサンは違うようだけど、奥のお2人さん、アンタたち、高校生?」


 と、舞は聞いた。


 「失礼ね。高校生に見えるの?」


 舞に言った女が笑いながら答えて、


 「保険証は用意しておくから、明日にでもここへ取りに来れば?そうすれば身元はバレないわよ」


 「明日になったら待ち伏せされてボコボコにされるからイヤよ。急襲しなければ事は成功しない」


 「それもそうね。じゃあ使ったら送り返してよ」


 「わかった。速達でお願いね。こっちも病院へ行ったら、速攻で、送り返すから」


 舞がそう言うと、また奥の3人の男女は笑った。


 舞はバーテンダーが用意した紙に郵便番号と送り先と名前と電話番号を書いて、それからポーチから財布を取り出して1万円札を抜き出し、



 「これ、灰皿とキッチンボウルの弁償金」


 と、カウンターを滑らせてバーテンダーに突きつけた。


 「そんなものはいいよ。もって帰れ」


 と、バーテンダーが言った。


 「そんな訳にはいかない。ジイさんの好きにしなよ」


 と、舞は100万円の束をポーチの中に仕舞い、スナック〈魁〉を出ようとしてドアの所で1度立ち止まって振り返り、


 男に携帯を見せながら、


 「オラっ、そこのチンピラ、爆弾信号の届く範囲は半径50メートル。5分過ぎたら捨てていい」


 それから彼女はポーチの中から拳銃を取りだして、加瀬へ照準を合わせた。


 サバイバルゲームで使用している電動ソフトガンだが、本物に見えたのか、老バーテンダーと奥の3人の男女がギョッとして、加瀬の顔は引きつった。


 舞は問答無用で引き金を引いた。


 圧縮空気の抜ける音がまるでサイレンサー銃そのままのようで、BBブラスティック弾が加瀬の額を正確にはじいた。


 コンマ2グラムのゲーム用BB弾ではなく、もう1つ上の競技用のコンマ2・5グラムプラスティック弾で、防塵メガネなどの薄いプラスティックくらいなら撃ち抜く威力がある。


 ギャオッ!と加瀬が額を押さえて蹲った。


 「今の1発はみどりからのお仕置きよ。2度とみどりの前に現れないことね」


 舞はテレビの西部劇でお尋ね者がよくやっている、人を撃ち殺したあと銃口から立ち上る硝煙をフッと吹く仕草を見せて、ゆっくりとドアを開けて外へ出た。


 外へ出ると、それまで気付かなかったが、脇の下にじっとりと汗をかいていた。


 舞は電動ガンをポーチに入れ、少しでも早く表通りの人混みに紛れようと、早足で歩いた。


 見張り役に連れて来たはずの橋爪大和の姿はどこにも見えない。


 こんな経験はもちろん舞にとっても初めてのことだった。


 大人しそうなサラリーマン相手なら、お尻を触られた仕返しに小遣い銭を巻き上げたこともあるが、何しろ相手はチンピラとは言え本物のヤクザだ。


 用が済んだら撤退するのみである。大和の姿を捜したが、どこにも見あたらない。


 裏路地から表通りに出ようとしたとき、舞は不意に背後から襲われる気配を感じて身をかがめた。


 ムグゥ!という呻き声がして舞は振り返った。


 さっきの加瀬が腹を押さえてうずくまり、そばには大和が立っていた。


 「舞、ぼやぼやするな。逃げるぞ」


 大和が舞の手を引っ張って、表通りに連れ出した。


 すぐに人混みの中に紛れ込んで、2人は安堵の息を漏らした。


 「危なかったな」

 と、大和は笑った。


 笑うと左の頬にえくぼが出来るのを舞は知った。


 「どこにいたのよ。用心棒にならないじゃない」


 舞はまだ手を握られているのに気づいて、口を尖らせた。


 「小便だよ、小便」


 大和は悪びれた様子も見せずにまた笑った。


 よく笑う奴だと舞は思っていた。

 その笑顔に嫌味がないのがいい。


 が、オシッコをした手で私の手を握っている。


 「オシッコして、手を洗っていないのでしょう」


 「洗うわけ、ねぇだろう。小便だよ、小便。クソが手に付いた訳でもあるまいし」


 舞は途端に気持ち悪くなって手を離した。そして手をブラウスに思い切りこすりつけた。


 2人は並んで雑踏の中を歩き、さっき来た東口広場を横切って駅に入った。


 「大和、アンタんはどこ?」


 「後楽園」


 「私、お茶の水。じゃあ中央線だね」


 「ちょっと用があるんだ。お役ご免でいいか?」


 「うん。いいわよ。なんか美味しいものでもご馳走しようと思ったんだけど」


 「1発ヤラせてくれるのなら、付き合うぜ。学校で抜きそこねたからな」


 「冗談っしょ」


 「なんだ。そんじゃあまた」

 大和は軽く手を上げて人混みの中へ姿を消した。


 舞の誘いを断った初めての男だった。


 彼女は肩すかしを食ったような、それでいてちょっと清々しい気持ちになって、大和の姿を見送った。


 と、その時、背後で囲まれるような気配を感じて振り向いた。


 囲まれてはいなかったが、30歳くらいの若い男がすぐ後ろで舞の方を見ていた。


 さっきひと暴れしたバー〈魁〉の、奥の方にいた客に年格好と雰囲気がよく似ている。


 その肝のすわった目に、刺されるか、撃たれる、と舞は覚悟した。


 大和と別れたあとで、彼を巻き込まずに済んだ。ここは逆らわない方がよさそうだった。


 「わかった。アンタの言う通りにする」


 それでいい、というように男が軽くうなずいた。


 男に連れられて舞は、バー〈魁〉へ戻った。


 逃げようという気は起こらなかった。

 住所と名前と、悪いことに電話番号まで明かしていたので、いまから逃げても同じことだった。


 本物の極道なら家族に手を出すことはまずないが、そこらにたむろしている粋がったチンピラのすることはわからない。


 今日自分の撒いた揉め事の種は、今から何が起こるのか分からないが、できるなら自分自身で今日刈り取りたかった。


 殴られてボコボコにされるのか、もっと恐ろしいことをされるのか、それは分からなかったが、自分でケリを付けるほかはない、と舞は腹をくくっていた。


 バー〈魁〉へ行くと、違う女性客が2人ほど入っていた。


 和服を着て化粧もバッチリ決めているところを見ると、どうやら近くの高級ナイトクラブのホステスが、同伴予定客と待ち合わせているのかもしれない。


 バーテンダーが舞を見て、目を奥にやった。


 奥のカウンターにいた女2人の間に椅子が1つ空けてある。

 そこに座れ、という意味なのだろう。


 舞は椅子に座って、半分ヤケ気味にポーチから煙草を取り出した。


 舞の腰掛けたちょうど前のカウンターの上に、さっき灰皿代だと彼女が置いた1万円札だろうお金がある。


 煙草を1本抜いて口に挟むと、老バーテンダーが絶妙のタイミングでライターの火を寄越した。


 「何の用ですか?お金ならもうありませんよ。殴るなり蹴るなり刺すなり、好きにして下さい」


 と、舞はふて腐れて言い放った。本当はまだお金はポーチの中に入っていたが、とぼけた。


 「本堂舞。本堂の叔父貴の娘さん?」


 100万円をポンと出した女が言った。


 「えっ?」


 舞は驚いて女の顔を見た。


 美しい女だった。


 女というよりも、こちらも高校生のように見えた。


 舞の名前を知っているのはさっき住所と名前を書いたので不思議ではなかったが、〈本堂の叔父貴〉と言われたことに驚いていた。


 「私、六舎凜」


 と、女が名乗った。


 「六舎凜って、六舎組の8代目ですか?」


 舞の方が驚いた。


 大変なことをしでかしてしまった、と、もう後悔していた。


 選りに選って六舎組の組長を桟敷さじきに置いて小芝居を打ったなんて、父親に知られたら殴り殺されるかもしれない。


 「済みません。知りませんでした。謝って許して貰えるとは思っていませんけれど申し訳ありませんでした」


 舞は一息で謝って、頭がカウンターにつくほど下げた。謝って許して貰えるとは思っていなかったが、それ以外手がなかった。


 「いいのよ。感心したわ」

 六舎凜は笑って、


 「こっちのジイさんは横山哲二。皆は横哲の伯父貴と呼んでいるわ。それからこっちは青木あかね


 「横哲の伯父貴に、青木の茜ねえさんですか。さっきは大変失礼しました」


 青木茜といえば六舎組の調査部を背負っている青木豪太の1人娘であり、かつ六舎凜の右腕と聞いている。


 そればかりか舞の父親の本堂辰五はその調査部で仕事をしている。


 六舎凜組長といい、青木茜といい、そして横哲の伯父貴にはジイさん呼ばわりさえして、舞は3人に対して何てことをしてしまったのだと、ため息と涙が一緒に出てきて鼻をすすり上げた。


 「何、泣いているのよ。さっきの勢いはどこへ行った?」


 青木茜が舞を元気づけるように肩を優しく叩きながら、


 「本堂の伯父貴もいい娘さんを持ったわね。ねえねえさん」


 と、六舎凜に笑いかけた。


 「そうね。舞、あなた、幾つになったの?」


 六舎凜がたずねた。


 「高校に入学したばかりです」


 「聖山付属?」


 「はい」


 「私たちの後輩ってわけね」


 「はい。あと3年も学校へ行かなければいけません」


 舞の父親の本堂辰五は六舎組の調査部、青木豪太の下で音声データの解析を担当していた。


 辰五の父親も六舎組の古くからの組員で、その息子の辰五も大学を卒業すると自然に葵エンタープライズに就職して、今は高級ナイトクラブや高級料亭などで交わされる会話のデータ処理の指揮を現場で執っている。


 というのも高級ナイトクラブや料亭では、大企業の役員たちや国会議員が客として多く来るので、いろいろな会話が交わされる。


 そのひそひそ話や何気ない会話がとびきりの情報となって、時に六舎組葵エンタープライズの利益になり、時に悪人退治の資料にもなる。


 「あと7年でしょ。社会へ出るのは大学を出てからでも遅くない」


 六舎凜がもう舞の大学進学を決めていた。


 「あの小さな爆弾は手作り?」


 茜が聞いた。


 「はい。でもあのチンピラのポケットに入れたのはダミーです」


 「そのようね」


 「私のことは初めからわかっていたのですか?」


 ううん。


 六舎凛が首を振って、


 「元気のいい女の子がいると思っただけで、あなたが名前と住所を書いたからわかったの。ところで今から何か用があるの?」


 と、聞いた。


 「いえ。家に帰るところです」


 「そ、じゃあちょっと付き合いなさいよ」


 六舎凜が椅子を立ちながら茜に目配せした。


 「横哲の伯父貴、さっきは生意気な口を利いて済みませんでした」


 六舎凜と青木茜に続いて椅子を立って、舞はこちらにも深く頭を下げた。


 「おう。気にするな。家へ帰ったら、本堂によろしくな」


 横哲はそう言って笑った。


 外へ出ると、さっき舞をここまで連れてきた男が待っていた。


 「鎌田の良太兄さん。工務部責任者鎌田豪太伯父貴の息子さん。工務部の副部長」


 と、六舎凜が紹介した。


 「本堂舞です。よろしくお願いします」


 と、舞は鎌田良太にも最敬礼で頭を下げた。


 工務部というのが六舎組の様々な仕事をするというのは舞も知っている。ヤバい相手には力で対抗もするという。


 「おう。お前から見ればオッサンだがな」


 と、鎌田良太が笑ったので、舞はまた身の縮む思いがした。


 青木茜が舞の家へ電話をして母親が出たのだろう、久闊を叙したあと、組長と一緒に娘さんと食事をして帰るから、と伝えている。


 今まで六舎凜のことは話に聞いていただけだった。

 青木茜のことも名前だけ知っていたが、横山哲二のことも鎌田良太のことも知らなかった。


 今日それを知って、舞は一気に世界が広がったような気がした。


 その日、舞は高級衣料店へ連れて行ってもらい、大きな土産袋を抱えて、食事を一緒にして帰った。


 そして親友のみどりの堕胎手術は六舎組の経営する医療法人六徳会病院で、保健なしのウラでやってもらえることになった。


 お金の問題ではなく、みどりの記憶と体には深い傷が残ったとしても、公的記録に残らないのがなによりだった。


 「このお金、お返しします」


 舞はポーチから100万円の札束を取り出した。


 「いいのよ。その子に半分渡して上げなさい。自分を大切にしなさい、と、諭しておくのよ。残りは舞、あなたが好きに使っていい」


 六舎凜組長の器の大きさと気っ風の良さに、舞は憧れた。


 [第3話へ続く]


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