興味

気のせいか。気のせいなのか。

先輩と目が合った。

僕は慌てて図書室を後にする。


下駄箱まで早歩きした。いや小走りか。

一目散に下駄箱まで行った。


急に目の前に人が現れた。

僕は下を向きながら考え事をしていたのでぶつかりそうになった。

「あ、ごめ…」言いかけた時、心臓が止まった心地。眼前に意中の先輩がいた。

「あ、ごめんねぇー、急いでて…。ん?あっ!キミキミ!ちょうど探してて!

急いでたけど今少し時間ある?」と爽やかに優しくそして軽やかで自然と笑顔で尋ねる。

え、なんで僕に…。鼓動が高鳴る。咄嗟に手を後身組んだ。

「あ、はい少しなら…」と眩しい太陽を見るように少し目を逸らしながらモジモジしながら答える。

「うん!ありがとう!」と言って先輩は下駄箱に寄りかかる。「てか暑いね。私、汗臭くない?」

「いやいやそんなことは…」むしろいい匂い…とは言えなかった。

「よかったぁー。さっきまで外いたからねぇー。

でね本題。さっき見てたでしょ!」

一瞬時が止まった。膨大な情報を頭で整理する。頭がパンクしそうだ。変な汗が滴る。

僕が返答に困ってるのを見てか、先輩は続けて言い放つ。

「陸上興味ある?今日だけじゃないよね!見てたの!」

僕は一気に上昇した体温が下がるのを感じた。

「あ、いや、、、また今度!」と居心地が悪くなり言い捨て外へ走った。


僕は無我夢中で走った。汗を滲ませて。

思い出す。さっきまで近くに先輩を。

初めて話した!嬉しさが込み上げる。

先輩いい匂いだった。滴る汗。湿っぽい髪、肌。

焼けた肌に満面の笑顔。

思い出すたび表情が崩れる

僕の方こそ冷や汗かいてて臭わなかっただろうか。

まあ今更と気持ちを切り替える。

足取りが軽い。暑さや疲れなど微塵もない。


道端で打ち水しているおじさんに声をかけられる。

「おー若いの、いいことでもあったかい?」

「え、あ、はい少し」

「明日も学校しっかりとな。」

僕は軽く会釈する。妄想の邪魔され少しムッとした。ただ,先輩のことでいっぱいでどうでもよくなった。


撒かれた水にうっすらと虹が出ていた。

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