アンヤ・メメ



 夕方に咲いて朝には散った。

 黒い種を残して。

 花を育てるのが好きだった。特に病院の庭に咲いていた黄色と桃色の花が好きだった。夕方に咲いては朝には閉ざした。カラフルな色は私に異国の風を運んだ。この薄暗いコンクリートに囲まれたこの地に強く根付くそれは何年も何十年もこの土地を見ていた。

 私もその何十年間の記憶の1つになることができるから。怖いものはなかった。笑顔を絶やさないことがあの花になれる唯一の方法だって思っていたから。なんて夢を見てるのを許してほしいな。

 ただ漠然と窓から外を眺めてると、涙が少し溢れた。

 深く深く、根付くいたらいいな。

 それが、広がればいいな。





 

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