第3話 ギルドの洗礼――変態紳士、世間の壁に挑む
戦いから帰還した俺、シン・カナメは、全裸スキル「ヌーディストブースト」の力を多少なりとも実感しながらも、まだまだ周囲の目線という壁に苦しんでいた。
村の人々からは感謝されたものの、街へ戻れば住人も冒険者もみんな俺の格好に凍りつく。下着一枚で歩く俺は明らかに目立ち、奇異な視線がビシビシ刺さるのだ。そんな俺を支えてくれるのは幼馴染の魔導士、ミーナだけだった。
「シン、あなたは変わってるけど、私はあなたの味方よ」と不敵に微笑みながら励ましてくれる。心強い支えだ。――そんな日々の中、冒険者ギルド登録の日がやってきた。
登録は冒険者として正式に認められるために必要な通過儀礼だ。
しかし、ギルド受付の女性が俺を見るなり目を覆った。「そ、その格好は……」
「俺のスキル効果だ。全裸に近づくほど強くなるんだ」
「な、なんですって!? 全裸?」受付の裏で噂が瞬く間に広がり、周囲の冒険者たちの視線は俺に集中し、ざわめきが沸き起こる。「変態紳士だって!?」
「マジキモい!」
「それで強いなら逆に見ものだけど!」俺は恥ずかしさと怒りで顔を真っ赤にしつつも説明した。
「誤解だ! これは特殊なスキルだ! 服の重みで力が落ちるんだ。…脱ぐのは戦いのためなんだ!」ギルド長が現れ、じっと俺を見つめる。
「面白い。では試験を受けるがいい。己の力と覚悟を見せてみろ」闘技場へ行き、模擬戦が始まった。
俺はミーナの支援魔法を受け、全裸に近い状態で臨む。
視線の刺さる中、緊張と羞恥を噛み締めながらも力がみなぎっていくのを知った。敵の動きを避け、攻撃を繰り出す度に体が軽くなり、動きが切れ味鋭くなる。
仲間の驚きと拍手の中、俺は思う。「これが俺の力、俺の生き方なんだ」試験が終わると、変態紳士の汚名も多少は薄れ、ギルド仲間の一部から興味と共感の声が寄せられた。ミーナは嬉しそうに微笑んだ。
「シン、これであなたは正式な全裸紳士よ。いざ、これからが本番!」俺は胸を張りながらも心の奥底で誓った。「恥ずかしさも、非難も、全部力に変え、俺は最強の全裸紳士になる――」そして、新しい仲間や試練が待つ世界へ、一歩踏み出したのだった。
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