彼岸華の君

我が国、琉和奈には彼岸華《ひがんばな》という人ならざる者達の一族が存在している。
出生、存在、全てが不明で、夜になると何処からか現れる一族。
その存在に、ある貴族は恐れ慄き、ある貴族は好奇心の駆られるままに、彼岸華を探し求めていた。ーー近くにいるとも知らずに

『帝に嫁いだ沙羅の君が意識不明の重体となった』

表向きは、貴族の赤川家として一族を繁栄させていた彼岸華の本家に、その一報が届いた。

"彼岸華は、いかなる時であっても本家筋の娘を帝の近くに置かなければならない"

彼岸華には、そういった謎の規則があり、彼岸華は慌てふためいていた。
そんな中、彼岸華当主は自身の末娘である彼華《ひばな》にある願いを告げるーー