第6話
光が瞼の奥から容赦なく突き刺す。
「……」
若干不機嫌になりながら、上半身を起こし頭の中を整理する。
そうだ、サラさんの村に来たんだったな。
「ドーーーン!!!」
…馬鹿娘が扉を蹴破ってきた。…最悪だ。
「いつまで寝てんのよ!早く出てって!」
訳も分からぬままに追い出される。あの野郎…。
まったくもって最悪の朝だ。
「斎藤さん、おはようございます」
訂正しよう。最高な朝だ。
「おはようございます、サラさん」
振り返って出来るだけいい声であいさつを返す。
振り返るとそこには…
「ァ”ッ…(絶命)」
女神だ…女神が居た。
緩いグレーのセーターを着こんだサラさんがこちらに微笑みかけている。しかも萌え袖だと!?
純情boyの性癖破壊セットだ!
寝起きのハイテンションを深呼吸でどうにか抑える。
「どうかされましたか?」
小首をかしげながら、サラさんが問いかけてくる。
「いやァ、今日は何をしようかと思いましてね」
実際これは大きな問題だ。
あの糞爺がロクな説明をしてくれなかったせいで、目的が分からない。
「サラさん、ここ最近なにか問題とか起きました?」
「問題、ですか?」
「ええ、どんな些細なことでもいいんです」
「そういえば、ここ2,3年でグリゴリの活動が活発になったような気がします」
「なんか理由とか分かります?」
「いえ…おばあちゃんなら知ってるかもですけれど…」
「ありがとうございます、聞いてみます」
サラさんにおばあちゃんの家を教えてもらい、訪ねた。
…昨日スープを作ってもらったおばあさんだった。
「こんにちは~」
「あらぁ、昨日のぉ」
「昨日はありがとうございました。おいしかったです」
「よかったわぁ」
「少し聞きたいことがありまして、いいですかね?」
「いいわよぉ、こんな老いぼれに答えられることがあれば何でも答えるわよぉ」
「…グリゴリの活発化の原因とか、ご存じですか?」
…危なかった。『何でも』なんて言われたら、危うくサラさんのスリーサイズとか聞きそうになった。聞かないけど。
…………。
おばあさんの話を要約すると
・グリゴリは定期的に活性化する
・ただ、活性化が持続するのは珍しい
・そういう場合は『統率者』が出てきている可能性がある
とのことだ。
やっぱ、セムヤザいるんじゃん。
しかも、『統率者』は『管理者』と呼ばれる部隊長みたいな個体を作り出すそうだ。
アザゼルとかいるよな、絶対。
そのあともおばあさんと雑談を続けた。有益な情報は
・サラマンダーはドラゴンになる
・ここら辺の海はリグロア海というらしい
・グリゴリは視覚に頼りきっている
・針葉樹林に生息する生き物の中には、雪を燃やす『冷たい焔』を使うものがいる
・グリゴリは『グリゴリ』『グリゴリーダー』『グリゴリン』『フライングリゴリ』『管理者』『統率者』伝承でしか語られていない『超越者』がいる
と云ったところだろう。
そのままおばあさんにお昼ご飯をご馳走になった。
優しい味のポトフと歯ごたえのあるパンが美味しくて、少し懐かしかった。
おばあさんの名前は『シャレルさん』というらしい。
なかなかお洒落な名前…はっ!
洒落る=シャレルってコト!?
この思い付きは心のうちに仕舞っておくとしよう。
とりあえず、目下の目標は『統率者』の討伐かな?
俺がここに来たタイミング的にこれも解決しろということだろう。
『冷たい焔』の生き物も気になるしな。
「予想ってか勘なんだが、針葉樹林の奥地…グリゴリの拠点とかありそうだよな」
今日はもう日が傾いているから、行軍はめんど…、大変だからな。
今日までゆっくり休んで明日から頑張るか。
たぶん、時間かかるから備品の確認とかしておかないとな。
装備品を確認しながら、一日の時間を過ごした。
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