第3話 進展

…殺してしまった。

よくよく考えれば殺す必要はなかったのでは?

命を奪うのは一瞬、後悔は一生…そんな言葉が頭の中を駆け巡る。

…考えていても仕方がない。この少年の仲間が来る前に死体を処理してしまおう。


「…ふぅっ」

重労働に思わず声が出た。

…死体処理の仕方?シークレットだよ。

…最初に見つけたバッカルコーン頭の腹に詰め込みました…はい。

ともかく、先へ進もう。人がいることはわかったのだから。


それにしても人が住んでいると分かってよかった。

南極みたいに住み着いているのはいないと思っていたからな。


…日が傾いてきた、そろそろ一夜を明かす場所の確保をしなくては…。

地面の雪を取り除き、一畳ほどのスペースを作る。

「ここをキャンプ地とする!」

薪がないではないか!…なんという失態。急いで針葉樹林へと向かう。

幸い、葉っぱや枝はすぐに見つかったが…

目の前に…トカゲが出てきた。


ただのトカゲじゃない。赤い鱗で覆われた、赤ん坊くらいのサイズのトカゲ…

俗に言う、【サラマンダー】ってやつだと思うんだが、なんでこんな土地に?

創作物では火山とかにいるはずでは?

そんな思考を知ってか知らずか、サラマンダー(仮)は威嚇してくる。

ナガンを置いて、後ずさりするが関係なさそうに威嚇を続けている。

…どうやら戦うしかないらしい。まぁ、熱源にはなるか…


空いた両手に89式を生みだし構える。取り合えず目の前に撃ってみる。

…引くつもりはないらしい。三点バーストであることも確認できた。

肩付けに構え、頭部を狙…ん?


「…うおっ!?」

危ねぇ、口開けてたから避けたら本当に火球吐いてきた…。狩りゲーモン〇ンかよ…。

ローリングから体制を整え、片膝立ちで引き金を引く。

ダダダっ…と三発の銃弾がサラマンダーに向かい、同時に三発分の薬莢が排出される

ブレることなく三発とも同じ位置に着弾する。

「ギャアッ」と短い叫びをあげ、サラマンダーは絶命する。


「…やったか?」

フラグを立ててみるが、微動だにしない。

棒で突いても反応がない。…ただの屍のようだ。


胸ポケットからサバイバルナイフを取り出し、解体に移る。

「…トカゲの解体ってどうやるんだ?」

狩猟免許を持っているわけでもないので、感覚でバラしていく。

まずは喉を裂き、血を抜いてみる。…あ、血も取っとくか。

人間と変わりない赤い血がヘルメットに溜まっていく…。


「環境適応が軍事に偏ってるおかげか知らんが、ヘルメットも出せるとはな…」

そう、ヘルメットも出てきたのだ。しかもポケットから…

おそらくご都合主義のなんでも入るアレだろうな。

…普通に乾パンの缶とか出せばよかったな…。


次に喉から肛門にかけて一直線に切る。そしてそこから皮と肉を剥がしていく。

…汗が額に滲む。赤子サイズとなると結構重労働だな…。


皮を剥ぎ終わったら首を落とす。

…気になったので中を覗いてみる。…へぇ、燃えてる場所があるんだ。

こいつにとってのエンジンみたいなものなんだろうな。

燃えている内臓を傷つけないように取り出す。

「ご〇だれ~」

内臓を右手で掲げながら口ずさむ。熱源を手に入れた。


「トカゲだし、食えるよな?」

肉は切り分けて皮で包む。臨時の風呂敷だな。

…キャンプ地まで戻ってきた。おもわぬ収穫があったが、目的は薪だ。

薪や葉を積み上げ、内臓に一本の棒を突っ込み点火する。火付けが楽でいいな。

パチパチと薪が燃え始める。…薪は乾いていたみたいだな。


しばらくすると辺りは真っ暗になり、焚火も消えた…。

針葉樹だからな…しょうがない。

レーションを取り出し、食べる。…食えるかっ!(大塚〇夫ボイス)

…明日に備えて寝るか。

サラマンダーの内臓を胸に抱きながら、瞼をおろす。

意識は急速に深く深くへと…落ちていく。



~あとがき~

どうも、みみみと申します。

今回も読んでいただきありがとうございます。…いるかも分からない読者の皆様への感謝で胸が張り裂けそうです。ク〇リンみたいに。

さて、今回はいかがだったでしょうか?

食えるかっ!は〇GS3のネタです。

…文字数が他の作品と比べると少ないと思えてならないのですが…どうですかね?

引き伸ばしでは決してございません。

では、また次のお話で…

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