第2話 遭遇と戦闘
…どれくらい歩いただろうか。後ろを振り返っても自分の足跡以外なにも見えない。
海岸沿いを歩くのは失策だったか?今からでも右手に見える針葉樹林に入った方が良いだろうか…。
いや、よくないな。森は迷ううえに視界が悪い。いくら現代兵器を持っていようと、後ろからダ〇ソシリーズのような致命的な攻撃をされれば対処する間もなく雪とキスしてご臨終だろう。
…そんな無駄なことを考えながら、足を進める。
…歩く
…歩く
…歩く
!
前方に黒い影が!
駆け寄りたい衝動を抑える。そうだ、冷静になれ。誰が最初にあった生物が友好的だと言った?敵対生物の可能性も大いにあるだろう。
ナガンを構えながらじりじりと近寄る。黒い影は動く様子はない。
残り二十メートル…完全に認識できた。
オットセイ…いや、セイウチか?
そこら辺の海獣の頭が花になっている生物だ。花といってもフラワーって感じじゃないな。バッカルコーンって感じだ。
動いていないが…死んでいるのか?
ざっと観察する。…目立った外傷はなし、呼吸しているような胸部のふくらみもない
…ナガンを撃ちこむ。…反応はない。
死んでいるとみなしていいのか?まだ不安だ。
くそっ、俺に人並み外れた聴力があれば
ふと、森の方から雄たけびのようななにかが聞こえる。
そして森から一つの影が飛び出してくる。
…人だ。おそらく原住民だろう。しかも子供だ。
こんな環境にわざわざ身を置いているのか…。
原住民はさきほどの死体(?)の前に立ち、こちらに牙をむき出しにして喉を鳴らしている。
服を着る知性も、武器を使う(槍の先端に釣り針のようなかえしを付けている)知能もあるのに、言語能力はないのか?
それとも、戦士は捨て駒タイプか?
まあなんにしろ目の前のこいつは敵だな。
先手必勝!ナガンを発砲する。
発砲音に驚いたのだろう、飛びのこうとしていたがそれよりも早く7.62mm弾が右肩を貫いていた。
あまりの痛みに奴は槍を落としたので、すかさず左肩にも撃ちこむ。
逃げようとする前に両足の付け根を撃ち抜く。
最後の二発を喉と眉間に撃ちこむ。
…あっけなく、あまりにもあっけなく終わった。
練習場で的でも撃ちぬくような感覚で、人間の身体を撃った。
虫を殺すように、人間を殺した。
…思ったより、なにも感じていない自分に驚いている。
【環境適応】で命を奪い合う状況に適応したのだろう。
七発の弾を一つずつ、死体の前で込めていく。
…こうして初めての戦闘は特に何かを得るわけでもなく、音すら雪に閉じ込められたこのように、静かに終わった。
~あとがきてきな何か~
ここまで読んでいただきありがとうございます。
戦闘シーンでは、元々動物相手にするつもりでしたが、人間相手のほうが主人公の心境とかを複雑に出来るかなと思い、人間にしました。
ちなみに主人公は30代くらいの鋭い目つきと隈がチャームポイントの男性をイメージしています。
では、また次回お会い出来たら嬉しいです。
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