第7節 〜〜〜現状理解と新たな一歩〜〜〜
結局あの後は全員疲れていて、眠りこけていた。
皆、各自に指示された部屋に行って眠っていた。
「ん?」
携帯に着信が入っている。
お父さんからだ。お父さんの名前は嵯峨会堂。
半年ほど前から海外転勤しているが、連絡はちょくちょく取る程度だった。メッセージの内容を確認してみると。
ーー健人、無事ならすぐに返事をして欲しい。日本も同じ状況だと思うが、アメリカにも未確認生物が来ている。アメリカ空軍が何回も爆撃してやっと倒せるレベルだったが、お前とサクナと母さんは大丈夫なのかが聞きたいーー
あぁ、お父さんはまだお母さんの事を知らないんだった。あまり、自分の携帯で打ち込みたくない内容だったが、正直に伝えることにした。
「はぁ、お父さんこそ大丈夫なのかなぁ」
そう呟く。
そうだ気分転換に外の景色でも見よう。そう思いながらカーテンを開ける。
って、え!?
別に普段見慣れない神戸の景色に驚いたのではない。普通に人間が暮らしているではないか、昨日あんな事があったっていうのに。
俺はすぐさま携帯で状況を確認した。
どうやら、すでにあいつらはここから消え去っており、今は安全な状態らしい。
"今は"ねぇ…。
とりあえず、サクナ達と合流しようと思い、部屋を出た。
「確か、サクナと石井の部屋は304と305、俺の隣だよな」
そう思い、ノックをした。
「ん?おはよう、お兄ちゃん」
「おはよう、外の事知ってるか?」
「うん、さっきスマホで見た」
とりあえず頷き、石井も起こすことにした。
「おーい、石井〜」
「んん!?、わぁッ」
いや、別にそんなビビらなくてもいいだろと思い、部屋に入った。そこには本が2冊散乱していた。
【ギリシア神話】、【悪魔降臨】
こんな時になぜこんな物騒な本を読めるのか分からなかった。まぁ、多分色々と対処法を考えていたのだろう。
その後は各自準備をし、集合場所である玄関口で合流した。
「よ〜し、皆、そろったなぁ?」
ホトカさんだ。
「とりあえず、皆状況は知っとると思うけど、俺らから1つだけ言わせてくれ」
「ハンターズは人員がまだ足りてない、今の所結構な人が応募してくれとるみたいやけど、能力値が低い奴らもちまちまおる」
「タレントの強さは人それぞれやけど努力と使い方次第ではかなりの強さを誇る、それが神からの
「ほな、まぁこれくらいにして今日でみんなとはおさらばや、ほな」
「あぁ、そうや最後に一つ、まじで大事な事言い忘れよったわ。テレポートのやり方や」
その場にいる全員が息を呑む
「まずな、例えばそこら辺にある植物に信仰心を捧げるんや。つまり、近くにあるものを一つ選んでそれを自分が信仰する対象とする」
「ほんで、行きたい所と今の場所とを脳内で線で結ぶんや。ただ、日本の物は日本の物。あんまり遠い所には行けへん。例えば海外とかにはな」
「そうしたら、ほれ円が出てきよるやろ」
本当だ。しかもテレポートは途中で中断できるのか。まぁ、お父さんの所には行けなさそうだな。
「そしたら俺等から言えることはほんまにこれで最後や、各自行きたい所があるんやったら各自練習しするように」
そう行って去ってしまった。
その場にいた皆がこぞってテレポートの練習を始める。どこか行きたい場所でもあるのだろうか?
それに、自分のタレントも知りたい。俺にはどんな神様がついているのか。
まぁまずはテレポートだ。
「近くの物を神とするんだよな?」
そう言いながら石井は目を瞑って集中している。
すると石井の周りのあの時見たのと同じ円が囲っているではないか。
「おぉ!すげぇ!」
石井がはしゃぐ。
「俺等もやってみるか」
そうサクナに言う。
俺とサクナは何回か挑戦した後、テレポートはできるようになった。流石、石井普段から神のことを信じているつけが回ってきたようだ。
とりあえず、俺達は元いた東京に戻ることにした。
「おぉぉぉっ!」
「俺たちの故郷だ!」
そう言い、辺りを見渡す。もうほとんどの人がタレントを使っているらしい。建造物を一瞬で直してしまうもの、怪我人を魔法で治療しているもの。
「なぁ、俺達もタレントってやつ使ってみたくねー?」
そう石井が言う。勿論、そのとおりだ。
タレントの発動方法は昨日ホトカさん達から聞いている。ただ、心の中にいる神に向かって祈るだけ。正直言ってできる気がしない。
「確か、こうだっけか?」
その石井の言葉の後、辺りの空気が少し一変したような気がした。その瞬間、目の前にいた2人の男達がいきなり喧嘩を始めた。
「もしかして、君のタレントを使えば、相手同士を戦え合わせることができる!?」
「すごい!すごいよこれ!」
石井はものすごく嬉しそうだった。
「けど、何の神かはまだ分かんないなぁー…、もしかしたら"戦いの神アレス"とかもあり得るけど…」
しかし、まぁこれで一旦、石井のタレントは知ることができた。後は俺とサクナだけだ。
辺りは色々崩れ落ちていたので、ほぼ平地だった
「よし、じゃあ私からやるね」
そう言いサクナは目を瞑ったその時、目の前の男達が一瞬でまたさっきのように談笑しながら歩いていた。
「ぇぇぇぇぇ、俺と真反対じゃん!」
「多分、平和を司る神的な感じなんじゃないかな」
「いや、多分そうなんだけど、ヘラとかその辺りじゃないかな?」
なら、この地獄みたいな世界も平和にしてくれと思うが、流石に無理ではあるか
「へぇ〜、確かに楽しいかも」
サクナは少し笑っている。
「それじゃあお前が最後だな」
石井はそう言いながら足元にいたアリ達に喧嘩をさせている。サクナはそれをどうにか止めているらしい。
「おう」
そうとだけ返事をし、俺も2人がやったみたいにした。その瞬間、頭にひどい激痛が走った。まるで何かの電流が体中を巡ったかのようだった。
「ドカァァァァァァンッ」
目を開けてみると、目の前には目を飛び出しそうにしているサクナと石井の姿があった。それに、周りにいた何人かが俺のことを見つめていた。
「ん?」
そう言うと、
「いや、お前あれ見ろよあれ!」
指を刺された方を見ると、崩れていた家がさらに燃えていた。
「俺、何もしてない気がするけど」
「いや、お前あの崩れてる家に雷でオーバーキルしてたよ!?!?」
「お兄ちゃん、一体どんな神宿ってんの…」
若干引き気味である。
「いや、多分俺が推測するに全知全能の神ゼウスに違いない」
「ゼウス!?!?」
俺とサクナは口を合わせ、聞き返す。
「うん、なんでよりによってあのゼウスが嵯峨についたか分かんないけど」
「最後に確認する方法がある」
「んん?」
俺とサクナが息を呑む。
「嵯峨、俺になれ」
「え!?、無理だよそんなの」
「もし本当にゼウスなら何にでも変身できるはずだ、ほら早くッ」
そう言われるがままに石井の姿になろうとする。
体がねじれる変な感じがした後、目を開けるとまたこの2人の驚きの顔が見える。
「石井さんが、2人!?」
そうサクナが言う。
「嵯峨、お前やっぱりゼウスだよ!ゼウス!」
「いやいや、ありえねぇだろ。なんでよりによって俺なんかにそんな神がつくんだよ!」
「けど、今実際ゼウスの能力を使ってるじゃん!」
「お兄ちゃん、すごい!」
まぁ確かにそうだ。何の言い逃れもできない。
俺はゼウスの力を手に入れてしまった。
「はぁ、なんか気が重いわ〜」
そう言いながら渋谷まで向かう。
適当にぶらぶらしていると、巨大スクリーンにハンターズについての情報が流れている。
近くにいた皆が見入っていたので、何のことかと思って俺達も見上げる。
「日本のハンターズの人員が10万人を突破!
それに続き、日本の国家級ハンターも登場!
御名前は安住カワセ様、三宅ヨネカ様です!」
その場にいた全員がうぉぉぉぉぉと声をあげる。
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