第6節   〜〜〜ハンターズ〜〜〜

「本当に意味の分からん事になっちゃってるってぇぇ〜〜」

石井が突然嘆く

ホトカさんと中弥さんが言うにはこうらしい。

まずテレビの情報は本当で、首都圏、各地方の都心部は全てギリシア神話上の幻獣が出現しているらしい。ただもう消えてしまっているとのこと。

そして、このいわゆる"ハンターズ"だが、まだ不安定な組織で緊急で設立された組織な訳だが、これからはこのハンターズが日本の安全を確保していくとのこと。

そして、さっき目の前で見たあのテレポート。

あれはどうやらやり方さえ覚えてしまえば誰でもできるらしい。正直言って意味が分からない。

そして、一番意味の分からず、あのサクナもグエッと理由のわからない奇声を発していた話。それがあのワイバーン達に刺さっていた弓矢の正体。"能力タレント"だ。

伝えられたそのままの事だが、あの現象が起こったと同時に神のような能力が使えるようになったということ。そして、その能力は人それぞれかつ、本当の神の能力に似たものだという。

つまり、俺もサクナも石井もその、タレントを使えるということだ。全く、神はタダで人にプレゼントをあげるというものを覚えたほうがいいと思う。


「あぁ、そうや。言い忘れとったけど、ここの避難所は通称No.3。俺達は今神戸におるんや。」

ホトカさんに続いて中弥さんが言う。

「ちなみに、函館はNo.1、横浜はNo.2、鹿児島はNo.4ね」

ふむ、なるほど。つまり、ここは神戸だからこの2人は兵庫、大阪当たりの人なのだろう。

「ていうか、さっきの2人はどこ行ったんだろ」

そう呟くと中弥さんが

「あぁ、安住さんと三宅さんね。あのお二人さんはここみたいな避難所とは違うハンターズ本部におるんや。ハンターズ本部は千葉にあるらしいけど、詳しい場所はまだ教えられてへん。」


「おっと、一番大事な事言い忘れてたわ」

ホトカさんがそう言う。

「俺等はハンターズ公安課、まぁつまり正義の味方っちゅう訳やけど、正義には悪役が付き物ってことであのバケモン達を崇拝しよる阿呆達もおるらしいわ」

「あんたらも知っとる安住さんと三宅さんも道中そいつらに襲われたらしいわ、話によればそいつらは悪魔側の技を使ってくるとかなんとか」

「まぁ、気ぃつけろよ」

最後に2人が口を合わせて言う。


本当に漫画のような話になってきたぞ。正義と悪魔。俺はいつも悪魔側につく意味が分からない。

どうせいつも正義側が勝つのは確定しているのに。


夕ご飯の時間だ。こんな避難所だが意外としっかりしているようで、どこかの会社のビルをタレントで強化しているらしい。本当に適応の早い人達だな…。そう思いつつ、集合場所である地下一階に行っていると、どこかの部屋からか女性の鳴き声が聞こえてきた。

【201】【202】【203】………

と続いているが、こういう時はほっとくべきだろうかと思い、エレベーターに向かおうとすると、

遂にその正体が現れた。

だいたい同い年くらいだろうか。鼻水をすすりながら部屋から出てきた。

「あっ…」

「あっ…」

深くにも目が合ってしまった。

そのまま無視しようとしてエレベーターに一直線に向かっていったが、流石に自分一人で乗って行くのは不自然なので、その子も待ってあげた。

「あのぅ…」

「は、はい」

「おなまえ、なんていうんですか?」

そう聞かれたので普通に答えておいた。

「嵯峨健人です、お互い苦しいと思いますが、頑張りましょう」

「は、はい」


ピンポンッ

エレベーターのチャイムが鳴る。その後は言葉も交わさずお互いの目的地へと向かっていった。

食堂にはすでにだいたいの人が揃っていた。だいたい20人くらいだ。

「おかえり〜」

「よっ、嵯峨」

2人とも大分気持ちは落ち着いてきたらしい。というか落ち着かせるしか解決策はないのだが。

「うぃっす」

そういい、席に着いた。

ホトカさんと中弥さんが前に出てきた。

「よーーし、皆。今日はとりあえずお疲れ様、まぁ一番疲れてるのは俺らやけど」

何人かの笑い声がクスクスと聞こえた。

「とりあえず、明日はまだ話があるから今日は早く寝るように。見張りは俺らが見張り用の結界を張っておくから安心してほしい」

「それじゃあ、頂きます」

全員が一気に食事をかきこんだ。皆、今日は色々あってお腹も空いているのだろう。勿論、俺もだ。



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