第3節 〜〜〜幻獣とホード〜〜〜

病院は血なまぐさい匂いとたくさんの人でごった返していた。

怪我人もいれば健康な人も皆避難してきている。

母の遺体は病院側が回収して、臨時の死体安置所に保管してくれているらしい。


「お前は家行かなくてよかったのか?」

「別に俺は1人暮らしだし、どうせ行ったとしても間に合わなかっだろうし」

石井は高校に上がったときから1人暮らしだ。

なぜかは教えてくれないが、生活費などは親から送られてくるらしい。


「なぁ、俺最期に交わす言葉あんなので良かったのかな…?」

「仕方ないよ、あんな状況だったし。それにお前のお母さんはお前のことを信頼してああ言ってくれただろうよ」

石井はそう言ってくれるが、あまり納得はできていない。

サクナは下を向いて黙りこくっているままだ。

母がなぜ家にいたのかだけはなんとか聞き出すことができた。

どうやら空の様子がおかしく、サクナに気をつけるようにいいに来たらしい。


「お前、あのバケモノたち、なんか知ってるだろ?」

「確かに、本では見たことあるし、あいつらのほとんどが知ってる生物だったけどいざ目の前にすると受け止めきれないよ」

そりゃあそうだ。いつも娯楽で読んでいる本の中に出てくるはずの生き物たちが今は現実となって、しかも街を破壊しながらやってきているんだから。


「とりあえず、今は情報収集だ」

そう言い、病院のテレビを見つめる。このくらいのサイズのテレビなら大人数でも安心だ。

テレビの画面には主要都市の映像が流れており、そのどれにもここと似たような光景が広がっている。まさに地獄だ。


「これは現在の東京、大阪、広島、福岡の映像です。現在、謎の生命体が出現し、街を破壊する、という行動が見られます。専門家によると、これらは全て神話上の生物であり、東京にはケルベロス、大阪にはキマイラ、広島にはドラゴン、福岡にはシーサーペントが出現しているとの事です。

また、今をもちまして、出現した生命体を幻獣ビースト、また今回の現象の核となっている可能性が高い、ケルベロス、キマイラ、ドラゴン、シーサーペント及びそれらに匹敵する幻獣を特定対処レベル幻獣モニターとし、今回のような現象をホードと称します」


神話上の生物が出現か……

改めて聞くと本当に理解が追いつかない。

とりあえず幻獣、特定対処レベル幻獣、ホードこれらは覚えておこう。

はぁぁ…疲れた…

今日1日で色々な事が起こりすぎて母が死んだことでずっと泣くことはできなかった。

母さん天国で泣いてるだろうか…

そう思い、少し休もうと目を閉じた時


バタンッ!! ドアがすごい勢いで開いた。

「逃げろ!!、やつら幻獣が来た!!」

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