未だ
そうか、間違っていた。勝利だけが正しく敗北は正しくないんだ。きっとそうだ。勝つことでのみ正義を保持できる。
それを僕に教えた彼は、勝利を飲み干し、勝利の正義に酔い……勝利に敗北した正しく間違った人間だった。
──「勝利は宵に消ゆ」より
成功体験。僕にはそれがない。だからこそ勝利を手にする男の物語にした。よくある自己投影だ。僕もそれで、何かに勝ったように思えると信じていた。でも現実はそう上手く行かず、手にしたのは机に突っ伏して香った、紙の匂いだけ。そしてもう一つ知った。僕は敗北者であって、敗北は砂みたいな味がすること。
勝利の美酒で酔うことができたなら、地に伏せた現実を幻覚にできるだろうか。この物語は、そんな妄想でしかないことだからだろうか、普段よりも早く思いついたし、書けた。そんな気がする。
物語の続きは、未だなく。
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