概要
記憶と言葉を繋ぐものたち
かつて、世界は地にあった。
だが《第一終界衝(セレスティアル・ダウン)》によって大地は崩れ、海は空へと昇った。
人々が最後に見た“地平”は、いまや天の底に沈んでいる。
そして、空に残されたのは十二の断片——
それぞれの「記憶」と「死」を宿した大陸たち。
人類は重力を失った世界で、風と光と神の残響にすがりながら生き続けていた。
そんな浮遊世界《アストラリウム》の片隅に、ひとつの村がある。
その名はアストリア。
風を読む民が暮らす、北柱フェンリクス=スパインの庇護下にある小さな浮遊集落。
ここに生まれた少年——トレイン・フェザーネットは、
風の声を聞く不思議な感覚を持っていた。
風が運ぶのはただの空気ではない。
それは、かつてこの世界が地にあった頃の「記憶」だった。
風を読む訓練の日々
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