第3話 堕落のカラオケ

高校生活最初の夏休み






楽しいはずの高校生活だけど、わたしは高校に馴染めずに一学期が終わった。

友達はいるにはいるけれど、えみたちより仲のいやりとりしていない。





友達もそこまで出来ず、中学のときよりぐんと勉強が難しくなり、成績も下がる一方だ。

化学なんて授業を聞いても全くわからないし、課題をやっていたら夜遅くまで起きていることになり、授業は寝てばかりだ。







一方で、えみは高校生活楽しそうだ。

バイトもしてるみたいだし、SNSで新しい友達と楽しくやっているのを見ている。








遊ぼう、と誘ったけれど、バイトを理由に一度断られてから誘いにくい。

しかも新しい友達と楽しそうなえみと違って、いつまでも中学の友達にしがみついているみたいでかっこ悪い。


そうこうしているうちに、一学期が終わって夏休みになった。

高校生活はきっとあっという間なんだろうな。











えみから遊ぼうと連絡が来たのは夏休みに入ってすぐ。

塾と家の往復でうんざりしていた矢先の連絡だった。

ついうれしくて、すぐに遊ぶ約束をした。

ママには塾で自習と言っておけば22時までは遊べるだろうし。ゆきも誘った。



中学の時は行けなかったカラオケだけど、当たり前のようにカラオケで落ち合う。











「久しぶり〜!」

わたしも張り切ってメイク濃いめにしたけれど、えみとゆきはそれ以上に濃いめだし完全にギャル化している。

えみとゆきはギャルの多い学校だし、まあそうなるだろうな。

とりあえずドリンクバーでアイスコーヒーを入れて、部屋にもどって歌う曲を入れていく。なんで高校行ったらみんなカラオケ大好きになるんだろ。






1時間くらい経った時、えみがおもむろに

「ごめん吸っていい?」

と言い、いいとは言ってなかったのにタバコを吸い始めた。ゆきも黙ってそれに続いている。 

「あ、うん」

とは言ったものの、内心いま警察が見回りに来たらわたしも補導かな、、とかまたいい子の考えが頭をよぎり、情けなくなる。





えみはいつのまにかラッキーストライクの重そうな銘柄で、ゆきはオプションを吸っていた。

ゆきは時々むせていて、なんだか安心した。「時々吸ってるんだ」と毎日吸ってはいないみたいだったのに対して、えみはもう、わたしがみても手慣れた様子で深く吸っては吐いていた。「もう家でも吸っててバイト代タバコに消える」



制服とタバコがものすごくかっこよく見えてしまう。あ、いま誘われたらヤバイな。










「…吸ってみる?笑 って吸わないか〜笑 てかやめたほうがいいよっ」

とえみが言い終わらないうちに思わず


「うん…!吸ってみるかな」と答えてしまっていた。


もうあとに引けない、、







































  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る