第5話 キスされちゃった

 試合は、彼の力づよい好球が実り、7回まで無失点だ。でも、こちらの打撃陣の快音は聞こえない。相手のピッチャーも時速150k近い直球を投げ込んでくる。

 隣で、さすがといっている。声援や楽器の音がうるさくっても会話が耳に入る。


 7回の表、セットポジションから投球フォームに入り、投げたと思ったら、ボールはキャッチャーのはるか上に飛んでいき体が崩れた。すかさずタイムがはいり、皆がマウンドに駆け寄る。すぐにタンカが呼ばれた退場した。

 腕の内側の筋肉に疲労がたまったり肉離れがのこと、全治3か月という大けがだ。リハビリをすればまた投げられるという。


 リリーフ投手が出たけど、力及ばず1点差で敗退した。



 病室に最後まで部屋に残っていたら、恭二君がちょっとと呼ぶので近づいて中腰になって耳元に近づいたら、彼は体を起こして、私の額にチュッとキスをした。これで元気になれると。


 退院するまで毎日病室に通い、毎日キスをしてもらった。

 退院する日、私が彼に口づけをした。



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