鈴音

 息が出来なかった。交差点の真ん中で立ち尽くす。行き交う人々。皆楽しそうに歩いている。でも、私だけが置いてけぼりだった。人々も信号も止まらないまま動き続ける。その真ん中で一人だけ動けなかった。時の流れについていけなかった。

 下を向いて交差点を渡りきる。空は快晴。私の心とは反対。とうとう立っていられなくなってうずくまる。そして、泣き出してしまった。私だけ時が止まったまま。それが悲しくてつらくて耐えられなかった。誰も気に止めず通り過ぎていく。

 その時、そっと傘が降ってきた。まるで私を守るかのように。私は泣き続けた。傘に包まれながら。傘は空と同じ色をしていた。

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鈴音 @suzune_arashi

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