第10話
【残酷な世界】
解けた靴紐を結ぶように
2人分け合った日々が交差する
欠けた季節を埋める度に
街の鼓動が抜け落ちる
それはまだ
誰も知らないこと
幼けない君に心は立ち止まる
限りなく美しいと思っていた日々に
残酷なまでの別れを告げる
偶然という言葉のように
物事は寄り添い合っていた
微風が花びらを運ぶ
春風が 躊躇う心を潤す
いつかまたこの場所に来ても
何事も無かった様に
迎え入れてくれるだろうか
水たまりに写る月影を
そっと踏み越えて歩き出す
空と大地の交わるところへ
消えてゆくその後ろ姿
それはまだ
誰も知らないこと
約束の場所で瞳を細める
この一瞬の記憶の後で
吸い込まれてゆく覚悟を思う
広い世界が少しずつ落ちて
季節が静かに離れていくのを
(ただ)黙って見ていた
水と空気は決別を求める
紺碧(こんぺき)の空を制するのは
歪んだ残酷な世界
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。