第14話 カオスなショップと貧相な夕飯
家族LINEを開いた。一郎と二郎はどこにいるのかと思って。そうしたら、なんと一郎から15分前くらいに意外なメッセージが入っていた。
「なんか三菱未来館、予約なしでも入れそう。入るわ」
なんだ、どーりで私が2カ月前抽選に当たったわけだ。当たったというか、多分この時間に希望を出せば必ず予約出来たのだろう。当たって喜んでたのに。しかし、それならここにいれば、一郎がもうすぐやってくるという訳だ。
二郎は、大阪公立大学のやつが予約なしでも入れると書いてあったから並んでいるそうだ。やはり日曜の夕方になるとだいぶ空いてくるようだ。
私は「腰がやばい」と書いた。もう歩けないよぅ。そうしたら厚夫から「みんな、がんば!」というメッセージが送られてきた。余裕だな。万博を去ってしまった後悔はないという事だね?
そして、私の今後の予定を書いて送る事にした。みんなバラバラだから、いつ合流できるかを示し合わさないと。この後はショーを観ようと思う。もう歩き回れないからね。よって、夜7時半からのプロジェクションマッピングと、8時からの水上ショー、そして8時57分からのドローンショーを観るというメッセージを送った。そして、その前にご飯にしようと送り、二郎もそろそろパビリオンに入れそうだから、夕飯は合流すると返事がきた。
一郎がパビリオンを出てやってきた。お土産を見たいと言う。会社に持って行くお土産を今から買うそうだ。すぐ近くにショップがあるので行く事にした。
もうお店もライトアップされていた。入口に列は出来ていないので、すぐに入れた。だが、中は……カオス。ものすごい人だ。買い物かごを一応持ったものの、カゴなんかがあるから余計に歩きにくくて大変だった。人とすれ違う時にいちいちカゴを上に上げたり下に下げたり。もう既に買う物は買ったし、もういいかなと思った。一郎はどこかに消えてしまったし、先に店を出た。
二郎から、どこへ向かえばいいか、という連絡が入った。プロジェクションマッピングを観るので、シャインハット周辺で食べ物屋さんを探せ!と送った。すると、
「シャインハットとは」
という返事が。彼は印刷したQRコードと共に渡しておいた紙の地図もホテルに忘れ、万博IDも作らないくらいだから万博の公式アプリなんかも入れてないだろう。私は公式アプリを開き、シャインハットを検索し、その結果をスクショして送った。
一郎に、先にシャインハットの方へ行っていると送ったら、もう店を出たと返って来た。見回すとすぐそこにいた。大きな万博の紙袋を持っていた。
「紙袋を買ったんだけどさ、考えてみたら持って帰る時にはリュックに入れるから要らなかったかな。」
と言う。エコバッグは持っていたそうだ。
「会社持って行く時に入れれば。」
と言ったら、
「会社持って行く時にも、リュックに入れるな。」
と、一郎。
「それならさ、後でこの紙袋もらっていい?スーツケースに入れて帰るから。」
と、私は言った。こみゃく柄の紙袋可愛い。一郎は快諾した。
シャインハットに辿り着き、シャインハットのすぐ前の、リング下のベンチが空いていたので、そこに座る事にした。すると、二郎もやってきた。
「遠かったよ。正反対だから。疲れた~。」
と言っている。
何度かウォーターサーバーを見つけては水筒に水を入れてきたが、ここでもまた入れた。相変わらず水はぬるい。子供たちは自販機でジュースなどを買っていた。一郎がカロリーメイトドリンクを買ってきた。だが好みの味ではなかったとかで、急いで飲んでまた別の飲み物を買いに行った。
シャインハットの近くには、キッチンカーが3つ程あった。たこ焼き屋と、トルティーリャサンドなどが売っている店と、あとは何だっけな。とにかく、私と一郎はたこ焼きを買う事にした。二郎は、明日たこ焼きを食べるから今は食べないと言って、トルティーリャの方にした。
たこ焼きはガーリック塩味とソース味を1舟ずつ買い、一郎と分けた。たこ焼きを売っていたのが東南アジア系の人達で、隣のトルティーリャの方は日本人が売っていた。それはいいのだが、たこ焼きはまあ普通だった。よく焼けている。大阪のたこ焼き屋さんに昔言われた事があるのが、
「東京のたこ焼きは脂っこいでしょ。」
だったのだが、それは「銀だこ」の事だろうと思う。屋台のたこ焼きはそんな事もなく、今のコレとの違いはあまりないような。いや、このたこ焼きは良く焼けていて、屋台とも違うかもしれない。大阪のたこ焼きって柔らかいというイメージだが、これはけっこうしっかりとした丸だ。串に刺して食べやすい。そして、ガーリック塩はそんなに要らない。まあ、今は具合が悪くて食欲があまりないから仕方ないか。しかし……
「夕飯がこれだけじゃなぁ。」
私はそうぼやいた。でも、近くに適した店もなく、あまり遠くまで歩きたくない。仕方がないな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます