第10話 クウェート館

 クウェート館に徒歩でバラバラと入っていくと、ちょっとした広場に集められ、お子さんは前の方へなどと呼びかけられる。大きな青い球体があり、どうやらそこに映像が映し出されるようだ。

 そして、映像が始まった。クウェートはどんな国かを説明してくれる。綺麗だなーと思っていたら映像が終わり、次の部屋へとバラバラ移動した。今度は薄暗い部屋にいくつかのコンテンツがあるようだ。真ん中には大きな砂場。その砂はとっても白い。塩のよう。イカロスの石と書いてある。その石がこの砂なのかは不明。砂を触っていいようなので、サラサラだなーなどと思って触っていると、一郎が隣で、

「見慣れた機材が。」

と言う。上をちょっと見上げた一郎。なるほど、彼の仕事はこういう関係だったな。上の機材から白い砂に花やら虫やらの映像が映されていて、その映像は動いている。そして、一郎が映像のサソリを追いかけて掴んだ(実際には砂を掴んだだけだが)。すると、サソリが方向転換をして逃げた。

「おぉ!反応するんだね?」

私も動いている物を触ってみた。ちょっと反応したかな?それから、金の粒が固まっている所があり、近くの女性が掘っていた。掘ると何か現れて、ちゃんと見えるまで砂をどかそうと頑張っていた。でも、砂がまた流れてきて覆ってしまう。思わず私も手伝った。でも、やっぱりなんだか分からないまま……。うん、そういうものかな。

 何やら蓋のある器が並んでいた。家族が向こうへ行ってしまったが、並んででもこの器の蓋を開けてみたくなった。少し並んで開けてみると、クウェートの特産品が出てきた。デーツとか、真珠とか。

 一郎に追いついた。

「お父さんと二郎は?」

「少し前にいるよ。」

何か次の部屋へ行くのを待っている感じ。途中、滑り台の下り口が見えたが、あの滑り台はどうやって滑るのだろう。実は友達の間でちょっと話題になっていた。クウェート館の滑り台は子供用だと思って遠慮してしまったけれど、あれは大人もやっていいのだとか何だとか。だから、私もやってみるつもりでいたのだが、とうとうどこから滑るのか分からずじまいだった、

 隣の部屋に通された。暗い中、皆があちこちの山みたいな所に座ったり、寝転がったりした。真ん中が混んでいるが、端っこは誰もいない。私はこの誰もいない端っこでいいと思って、そこにほぼ寝転がった。一応斜めだけれど、座ったというよりも全身で寝転がった感じ。一郎も隣に寝転がった。

 おお、背中がひんやりして気持ちいい。涼しいぞ。そして天井のスクリーンに映像が流れ始めた。星空だ。すごく綺麗だ。暗い中なので没入感がある。プラネタリウムのようだ。

 終わった。出口へと向かう。いやあ、なかなか良かった。砂の所も楽しかったし、今の星空の映像も素晴らしかった。なるほど、これは人気が出るね。

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