第6話 オーガと博打
俺はこの金貨5枚を賭ける。あんたも自分の賭場を持ってるからには、それなりに金はあるんだろう。それを賭けて、もう一勝負だ。
「なめるなよ小僧。俺はこの界隈で、腕一本で生きてきたんだ。お前みたいな、青二才とは年季が違うんだよ」
その割には、アリスを使って詐欺博打とは・・年季が聞いてあきれる。俺がそう言うと、オーガは青筋を立てながら
「そこまで言うなら勝負を受けてやろう。俺が買ったら、きっちり金貨5枚頂くぜ」
もちろん、構わない。それはこちらも同じことだ。
しかし、勝負方法はどうする。カップ&コインはもうごめんだ。ここは賭場なんだろ?一対一で分かりやすい勝負は何かないのか?
「それなら、うってつけのやつがある。おいアリス、スローダイスを準備しろ」
スローダイス?初耳だが、なんとなく想像はつく。そうすると予想通り、アリスはサイコロと小ぶりの皿を持ってきた。
「小僧、さすがにスローダイスくらい知っているよな?」オーガは嫌味な笑みを浮かべて尋ねる。
いや、想像はつくが、詳しく説明してもらいたい。後で揉めたらお互い困るだろう?
「口の減らない野郎だ、おいアリス説明してやれ」
そう促されたアリスが申し訳なさそうにこちらの方に向かってくる。
「キョウスケ…」
アリスは俺を裏切った後ろめたさか、それともこれからの自分の境遇に不安を感じているのか、いつもの元気はどこへやら、今にも泣きだしそうだ。
俺はアリスに向かって、
裏切った事は別に気にしちゃいない、良くある事だし、さっきも言ったがお互い様だ。それよりルール説明を詳しく頼む。
「うん、分かったよ」
アリスは少し落ち着いた用で、スローダイスの説明をしてくれた。
「いいかい、キョウスケ。スローダイスのルールは単純明快だ。ここに8つの面がついたダイスが3つある。それを、隣の皿に一辺に投げて、その合計得点を競うだけだ。だから最高点は8×3の24点、最低点は1×3の3点ってことになる。」
なるほど、単純だ。チンチロリンのような、ゾロ目やシゴロ、ヒフミの概念も無いらしい。アリスは続ける
「あと、注意することと言ったら、順番にダイスを振っていくんだが最初に振る人がいくら賭けるか決められる。そして、投げた後の数を見て掛け金を最初の倍まで上乗せすることが出来る。相手はそのまま勝負するか、降りられるか決めることが出来る。この権利は交代制だ。あと気を付けないといけないのは、ダイスが皿から一つでも落ちたら失格。ペナルティーとして掛け金の3倍額が無条件に相手側に渡る。それと、もし数字の合計が同じなら、3つのダイスを比べて数字が大きいほうを持ってる方が勝ちだ。だから合計が10だった場合は、3・3・4より8・1・1の方が勝ちってことになる。だいたい、こんな所かな?でもキョウスケ、大丈夫かい?親方はこのスローダイスにすごく自信を持っている。だからこんな賭けに乗ったんだよ」
「おい、いつまでやってるだ。さっさと始めるぞ」
オーガの声が響く。アリスに向かって
まぁ、なんとかなるだろう?運は強いほうだ。と笑って見せた。
俺はオーガとテーブルを挟んで対峙する。見れば見るほどその体格差に唖然とする。
「じゃあ、早速始めるとするか?先行は譲ってやるよ」
そりゃどうも…その前に金貨をチップなり、銀貨なりに替えてくれないか。流れも分からないのに、いきなり金貨一枚なんて賭けられないからな
そういうと、アリスが店のチップを50枚用意してくれた。
待たせたな、さぁ勝負だ。
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